都政新報
 
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都~区トーク/人事異動鳥瞰

 
  

都ー区 都では夏の幹部異動があった。近年は人材の枯渇が声高に叫ばれ、人事当局は毎異動期、配置に頭を悩ませていることだろう。知事の任期中、最後の大規模な異動であること、新しい条例局が誕生したこともあり、今回の異動は特に細かな配慮が必要であったと推測される。結果的には、メリハリの利いた異動が実現できたのではないか。いくつか例を挙げたい。
 まず局長級である。これまで慣例的に勧奨退職の対象であった59歳本庁部長を何人か昇任させ、能力業績本位の人事を実現させた。この中には過去の政変に巻き込まれ、惜しまれつつ卒業していくことになるかと思われた人材も含まれている。
 また、次期政権に備えて、将来、条例局長を担うであろう若手が昇任した。新しく設置された条例局長には、区市町村に顔が利く国体準備経験者を抜擢するとともに、オリンピック招致部隊からは次長を配置した。新組織は定数も半分は国体準備部隊が占めることになり、当面は国体準備中心で動いていく組織であることを庁内にアピールする体制と言えよう。総体として、現下の厳しい情勢に対応するとともに、将来を見据えた配置と言える。
 部長級に目を転じると、現下の都政における大きな課題である築地市場移転と新銀行経営再建問題に対して、いずれも若手を抜擢した。市場には議会に強く、全庁に目配せの利く人材を、新銀行には金融部経験者を配置した。いずれも豪腕で知られており、難しい状況においても力を発揮できる人材である。
 都政の羅針盤となる「10年後の東京」計画を所管する部には、オリンピック招致で汗をかき、また次期主計部長の最有力候補と目される人材を配置した。計画と予算の整合性を図るには、絶好の人材配置であろう。
 人事当局のお膝元は、人事部経験のある実力派の部長2名を配置した。公務員バッシングが強まる中、再就職の禁止、労働基本権の回復、定年延長など人事当局の課題は山積している。2人ともまだ若く、大きな課題をじっくりと検討する体制を整えた。
 何かと舵取りが難しい生活文化局には政策部長、外務部長を経験し、知事周辺に対してもうまく立ち回れる人材を配置している。この辺りにも細かい気遣いが伺われる。
 また、今回の異動では本庁課長から昇任し、そのまま本庁担当部長に配置するケース、標準年次から2年前倒しで本庁課長に配置されるケースもみられた。管理職制度が改正され、今後はより柔軟な配置管理が可能となるが、その効果を先取りしたケースと言えるだろう。
 何はともあれ、一人ひとりが配置先で力を発揮し、閉塞感に包まれる都政の現状を打破することを期待したい。   (天邪鬼)


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