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【多摩】検証 26市の給与構造改革(下)諸手当


  地域手当 8市が国基準超

 都が公表した「都内市町村の給与制度の状況」では、8市が地域手当の国基準を超えていた。また、住居手当が都の水準より低いのは小平市のみ、扶養手当の「配偶者」の支給額が都より低いのは東大和市のみで、「配偶者以外」では全市が東京都以上の水準となっている実態も明らかになった。
 地域手当は、地域によって生じる給与の官民較差を是正するもので、国によって地域ごとの基準が示されている。今年4月1日現在、国基準を超えていたのは立川、三鷹、調布、小金井、小平、東久留米、武蔵村山、羽村の8市だった。
 このうち小平、東久留米、武蔵村山、羽村の4市は、09年4月と比較して引き下げを行った。また調布市と小平市は、段階的に国基準まで引き下げるよう条例改正済みだ。
 昨年度、引下げを実施していないのは立川、三鷹、小金井の3市。このうち小金井市は「国基準までの引き下げを目指し、昨年度も組合に提案したが見直しに至っていない。引き続き喫緊の課題として取り組む」と話す。
 他方、立川市は「給与構造改革を進めている最中で、まずは退職手当などにも影響がある給料表の見直しを進めている。地域手当は、その後の検討になる」と語る。三鷹市は「給与構造改革が来年4月に完了する。今年の勧告でも引き下げが見込まれ、それらを見ながら検討していく」との考えを示す。
 また、住居手当は各市の支給水準にばらつきが大きく出た。このうち三鷹市と小金井市は、都の支給額(扶養親族あり=9千円)の2倍を超える水準となっている。
 小金井市は「地域的なバランスを見て、高いという認識はある。昨年の組合交渉で2千円減額した。最終的には1万円代前半になるよう引き続き交渉する」との考えを示す。三鷹市は「高い支給額となっている認識はあるが、給与制度全体の見直しの中での経過もある」と話し、具体的な取り組みはこれからと話す。
 このほか扶養手当では、「配偶者」の支給額が1万3千円~1万5千円、「配偶者以外」の支給額が6千円~9千9百円の開きがあり、最高額はいずれも武蔵野市だった。
 管理職手当は定額制を採用する市と、給料月額に対する率で支給する市に分かれる。定額制の市では、課長級は6万9100円~8万3千円、部長級は9万2100円~12万円で、いずれも最高額は日野市となった。また、率で支給している市では、課長級が15%~19%で、最高率は三鷹市と多摩市、部長級が18%~22%で、最高率は三鷹市となっている。
 特殊勤務手当は、調布、小金井、福生、清瀬の4市が手当自体を設けていない。種類が一番多いのは稲城市の11(支給職員割合=1・6%)で、支給職員割合が最も高いのは八王子市で15.9%(4種類)となった。
 期末・勤勉手当は、今年4月1日現在の支給月数が全市4・15月となっているが、国立市は勤勉手当がなく、すべて期末手当で支給している。国立市は、「昨年から人事評価制度を導入しており、今後、これに基づく査定昇給の導入に合わせて勤勉手当の導入も進めたい」と話す。
 期末・勤勉手当には、役職の責務に応じて加算される職務段階別加算制度があるが、青梅市や国立市では主事(係員)に加算される制度となっているほか、同じ役職でも経験年数や号給で加算率が変わる制度を設ける団体もある。
 青梅市は「主事にも年齢と経験年数に応じて支給しているが、職責に応じた支給とずれているところがあり、見直しに向けて組合と協議している」と話す。また、国立市は「09年4月に特別昇格制度を廃止したが、現給補償者が残っている。課題意識はあり、近い将来見直しを図りたい考え」としている。
 今回、初めて都内市町村の給与制度の状況を公表した都総務局は、「公表することで都内市町村の人事給与制度の透明性が高まり、住民の理解と納得が一層得られるようになると考えている。各市町村も、他の市町村の状況を把握・分析し、人事給与制度を構築する検討材料にしてほしい」と話している。
 

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