都政新報
 
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【人】全国で元気が出る講演活動中 はとバス元社長・宮端清次さん


  

全国で元気が出る講演活動中


はとバス元社長(元東京都交通局長)
みやばたきよつぐ
宮端 清次さん

 年間100回を超える講演に全国を飛び回る。注文は「元気の出る話」と「成功談でなく、挫折や失敗から何を学び取ったか」だ。
 交通局長を最後に都を退職し、地下鉄建設㈱で大江戸線環状部建設の陣頭指揮を執り、残り2年で完成という時に倒産寸前の㈱はとバスの社長に指名される。「貧乏くじを引かされた思い」で携わった経営も、当初は挫折と失敗の連続だった。
 「ヘッドシップ(権限)とリーダーシップを勘違いし、合理化をしゃにむに進めたが、腰掛けで来ている社長の言うことなど誰も聞いてくれない。都で23年間も管理職を務めたが、生きるか死ぬかのことはやってなかった。社員と家族約2800人もを路頭に迷わせられないと自覚した時に、自分が変わるしかないと思ったんです」
 態度、行動で示すため、社長室を廃止し、専用車も共有にした。「63歳で満員電車はきつかったが、社長もバスで通っているというのは大きい」。社長に直訴できる「お帰り箱」を設け、必ず返事を書いた。行楽シーズンの休日や週末には、浜松町と東京駅で出発前のバスに乗り込んであいさつ。繁忙期には1日130台ものバスになったという。休日は月に3回、自腹で妻とはとバスに乗った。
 自ら客になって客に学び、社長が変わって社員も変わり、建設的な意見を出すようになり、「はとバスなら」と乗る客が「はとバスしか乗らない」と支持するようになり、「プロが選ぶ観光バス30選」で9年連続1位を獲得するまでになった。
 出版を請われ、6月に出した『はとバスをV字回復させた社長の習慣』(祥伝社刊)には、お客様第一主義で組織を逆ピラミッド型にするなど、気づきが大きな変革につながった事例が満載。真のリーダー像も納得だ。
 都庁時代、61年に全国に先駆けて老人医療費の無料化を行い、国から憲法には違反していないことを勝ち取った岩手県沢内村を地方自治の原点と思った。
 企業人が主だが、半ばボランティアで自治体にも講演へ。「住民からも国からも自治体任せで大丈夫かと問われている。また民営化しなければ、本当にサービスは良くならないのか。民間でも自治体でも、トップの意識改革なんです」 (門)
 
 大阪府生まれ。59年中大院法学研究科修了。都へ。94年退職し、地下鉄建設専務。98年はとバス社長。02年から04年同特別顧問。半年先まで講演予定があり、健康管理に気を遣うが、「元気をもらっている」と笑う。2男は独立し、妻と。75歳。(随時掲載します)
 

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