都政新報
 
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2009年都議選を振り返って 記者座談会(下)


▲相次ぐ当選の報告に笑顔を見せる蓮舫、鈴木寛の両氏
  議会の主導権は民主に 
与野党の協議が不可欠


 A 今回の都議選は、二大政党化を決定付ける結果となった。都政でも初めての体験で、都幹部が最も関心を持っているのは、議会運営がどうなるかだ。

 B 石原知事は、「民主党の是々非々の姿勢は本質的に変わらない」と話しているが、これは期待感を込めた発言だと思う。田中幹事長は13日、「知事サイドや執行機関側、各党が民主第一党どう考えてくれるか。胸襟を開いて意見交換をしていきたい」と述べた。この発言は意味深長だ。

 C 54議席を獲得した民主だが、合意形成に向け、自民・公明だけでなく、共産やネットとの協議の機会も増えるだろう。同時に、2年後の都知事選を見据え、石原都政との対立軸は明確にせざるを得ないのも事実だ。

 A 細かい話だが、議会運営で気になるのは、民主と生活者ネットの共同推薦・無所属で当選した昭島市の星裕子氏の扱いだ。

 B 議会運営委員会のメンバーは23人。委員構成は代表者会で決めることになるが、従来の按分の考え方だと、最低3議席は必要になる。これまで、生活者ネットは議運理事会にオブザーバーで入っていたが、実質の協議を聞けるのと聞けないのとでは、大違いだ。

 A 8議席の共産は、常任委員会は九つあるから、どれか一つの委員会には入れない。懸案を抱える経済・港湾委や厚生委に入れなかったら、苦しい。

 C 特に、経済・港湾委はこれまで、新銀行東京などの参考人招致の動議がことごとく否決されてきた。それだけに、野党も存在感を発揮するチャンスになる。

自民の意思決定体制は

 A 議席の数だけでなく、扇の要を失った自民党の意思決定の体制はどうなるのか。

 B 内田茂都連幹事長、次の自民党を背負うリーダーの髙島直樹氏が落選したのは、都政にとって大きな損失。相談相手がいなくなってしまった。存在感や実力的にも低下は避けられない。川島忠一、比留間敏夫、宮崎章、吉野利明という4氏の幹事長経験者を中心とする集団指導体制になるのではないか。

 C 内田氏は12日夜、党本部を去る時、「議員でなくても、お手伝いはできるから」と話していたが…。

 A 公明党は4年前に藤井富雄氏が都議を勇退したが、常任顧問という形で今も都議団に発言力を有している。都政で重要かつ困難な案件、例えば新銀行東京の経営破綻を回避するため400億円を追加出資した案件では、直接、石原知事が藤井常任顧問に頭を下げて頼んだと言われている。自民党でも都議会公明党と同じような意思決定システムになるのではないか。

 B 確かに自民党の場合、顧問・相談役という肩書きで長老を処遇するのが一般的だ。築地市場の移転問題、新銀行東京の処理といった政治案件を抱える。他方、都知事選を控え、これから政治的に舵取りが重要な時期になる。猪瀬副知事も知事選出馬の動きを加速させると思う。こうした状況下で知事が頼りにする人が都議会にいなくなれば、またぞろ、解任した元副知事に依存する都政に逆戻りしないとも限らない。

 C 内田、野村、髙島の3氏を顧問という形で重しに、その下に改選後4期生となる都議から幹事長、政調会長、総務会長を起用すれば、執行体制は安定するのではないか。

二大政党化は進んだが…

 A 一方で、これまでは自民・公明と知事側の協議で、都政の方針は定まってきたが、今後は民主抜きで物事を進めるわけにはいかない。二大政党化が進んだ都議会だが、各会派とも立ち位置が変わり、手探りが続くだろう。

 C いずれにしても、自民党の意思決定システムがしっかり確立し、判断がブレないことは、理事者にとっても、友党の公明党にとっても非常に助かると思う。そして何より、民主党幹事長も大いに助かるに違いない。第17期都議会を振り返ると、田中良幹事長が内田氏などと難題で協議をする場面があった。石原都政最後の2年間は、シビアな話を相談する事態が増えるはずだ。
 

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