都政新報
 
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都知事選ラストサンデー/現新の動静、対照的に/街頭演説は動員厳しく

 
  都知事選は28日、選挙期間中最後の日曜日(ラストサンデー)を迎え、候補者が都心部で街頭演説を行った。現職の小池百合子氏(67)が大きくリードする一方、元日弁連会長の宇都宮健児氏(73)、前熊本県副知事の小野泰輔氏(46)、れいわ新選組代表の山本太郎氏(45)らが追う展開。小池氏が「オンライン選挙」に徹する一方、他陣営はコロナ禍に雨天が相まって街頭演説の動員に限界もある中、訴えに懸命となっている。

■山本陣営
 山本氏は新宿、渋谷、池袋の各駅前で熱弁をふるった。「コロナ禍で被ったあなたの負債を徹底的に底上げする」。全3カ所の演説で、大半の時間を都債の15兆円発行による「経済危機からの脱却」に費やした。「財政が安定している東京が今やらなければ国が傾く」と訴え、都民一人10万円の給付やエッセンシャルワーカーへの危険手当の給付などを主張した。政策の実現性については、「総務省に確認して20兆円以上は発行可能と確認した」と説明し、理解を求めた。
 演説後は写真撮影の時間を設け、SNSでの拡散を呼び掛けたり、自ら聴衆に公選ハガキを手渡すなど、知人・友人伝いでの支援の拡大を訴えた。
 公選ポスターは名前メインのものから政策の目玉の「15兆円」が強調されたものに貼り替え始め、政策の浸透と票の掘り起こしに注力する構えだ。
■小池陣営
 「密を避けるため」として街頭での選挙活動に立たないことを公言している小池氏。ラストサンデーは新宿区内の選対事務所から政策を訴える動画をSNSで配信した。
 この日、配信した動画は計2本。午後6時半に配信した動画では「女性活躍」をテーマに、ウェブ会議システム「Zoom」で女子大学生10人と意見交換。「女性議員を増やすために必要な施策は」という質問に対し、「日本は海外よりも遅れている。政治を他人事ではなく、参加することが大事」と応じた。動画は都民ファの都議らが随時拡散し、「オンライン選挙」を実践した形だ。
 別の動画では、出水期を踏まえ、水害対策などの取り組みを強調。新型コロナでの感染拡大を防ぐため、避難所の収容人数などの課題を提起し、「命を守る災害対策を都民とともに進め、都民とともに決める。『東京大改革2・0』をともに進めていこう」と訴えた。
■宇都宮陣営
 宇都宮氏は午後1時から銀座四丁目交差点で街頭演説。直前まで雨が降る中、野党党首らが登壇するとあって、歩行者天国には支援者らが横断幕を掲げて声援を送った。
 応援弁士として立憲民主党の枝野幸男代表や共産党の志位和夫委員長らに加え、野田佳彦元首相も登壇し、「年越し派遣村の村長など宇都宮さんは一貫して困った人に寄り添ってきた」と太鼓判。宇都宮氏は小池知事のコロナ対策を「五輪の延期決定後にパフォーマンスを繰り返している」と批判し、「自己責任が要求される社会でなく、連帯や支え合いを重視する都政にしたい」と語ると、支援者から「うつけん」コールが沸き起こった。
 午後3時、新宿駅前での演説には、作家の中島京子さんや俳優の石川優実さんらが応援に。「ジェンダー平等」がテーマで、宇都宮氏は同性カップルのパートナーシップ制度導入や女性の副知事任命を約束した。
■小野陣営
 小野氏は終日を新宿駅周辺での街頭演説に当て知名度向上に全力を挙げた。特に強調したのが、都職員との信頼関係の構築だ。小池都政では、豊洲市場の「盛り土」問題に絡んで職員を懲戒処分したとして、「職員が詰め腹を切らされた。職員が(知事を)信頼して仕事をしようと思わない」と批判。「私が都知事になったら、職員を生かしていく」と約束した。応援に駆け付けた都職員から「絶対に勝って」と激励を受けたとのエピソードも明かした。
 小野氏は熊本県副知事として県のPRキャラクター「くまモン」の海外展開や2016年の熊本地震からの復興に触れ、「これまでの実績を見てほしい」とアピールした。小野氏は日本維新の会が推薦しており、同会の鈴木宗男参院議員らが支援を呼び掛けた。
■立花陣営
 その他、立花孝志氏(52)は新宿駅周辺で街頭演説し、新型コロナ対策や五輪延期問題で持論を展開した。演説後は「NHKをぶっ壊す」という掛け声とお決まりのポーズで写真撮影に応じ、気さくな人柄をアピール。自陣営の選挙カーを諸派・無所属の他候補に開放した「合同演説会」で投票を呼び掛けた。
 

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