都政新報
 
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都知事選・主要5候補政策比較/新型コロナ第2波対策が柱に/五輪延期対応は具体性乏しく


  都知事選の主な候補の政策を見ると、新型コロナの「第2波」対策に重点が置かれ、医療体制や経済対策などが主張の柱となっている。また、東京五輪の延期問題では、現職が大会の合理化を、他候補が中止・再延期を訴える。主要5候補の政策・主張を比較した。

 新型コロナウイルス感染症は現在、小池知事が「東京アラート」を解除し、19日には休業要請が全面的に解除された。ただ、日によって40人程度の感染者が確認され、第2波の懸念も高まっている状態だ。
 山本太郎氏は「総額15兆円で、コロナ損失を徹底的に底上げする」とぶち上げた。「第2波・第3波を考えれば、また『補償なき自粛』が行われる」とし、全都民に10万円を見舞金として給付するほか、全事業者に簡単なウェブ申請で100万円を支給するなど、現金給付型を強調する。財源は都債を発行する考え。
 小池百合子氏は第2波に備え、米疾病対策予防センター(CDC)の東京版を創設する考えを示した。PCRなど検査体制の強化や重症・軽症患者の医療体制の整備など、基本的には今までの政策を踏襲した内容となっている。
 宇都宮健児氏も検査体制の拡充を訴え、「軽症・無症状でも全ての濃厚接触者が速やかに検査を受けられる体制にする」。また、小池知事の言う「自衛」を批判し、「数カ月後には未曽有の解雇・失業・廃業・倒産が起こる可能性がある。『自衛』ではなく、国と都、区市町村との連携で支える」とした。
 小野泰輔氏は、感染拡大防止で規制対象を絞り、経済的影響を最小化する考え。また、隣県を巻き込んだ「サテライト都市整備構想」で都心の過密を防ぐとしている。小池都政の対策については「発令条件が不透明な東京アラートや時間がかかり過ぎるロードマップは即時見直し」と切り捨てた。
 立花孝志氏は過剰な自粛を批判し、「飲食店やイベント業の人たちが苦しい状況にある」として対策を講じる考えを示した。
 五輪延期の対応も大きな争点だ。現時点で、都や五輪組織委員会は大会を簡素化した上で、来年開催する方向。ただ、新型コロナの終息が見通せないことから、開催できる確証はなく、都が数千億円の追加負担に直面する懸念もある。一方、中止となればスポンサーの協賛金やチケット収入に加え、インバウンドなどの経済効果が期待できず、補償問題も発生する。
 山本氏は「特効薬・ワクチンができるまでは開催できない」として中止するスタンス。「都として『責任は持てない』とIOCに伝えるのがトップの役目だ」と主張する。出馬会見では「やれるやれる詐欺」とも評した。また、「五輪で利益を得るはずだった中小零細事業者はしっかり支援する」と付け加えた。
 小池氏は大会を簡素化し、費用を縮減した上で、来年の開催を目指す立場。出馬会見では「アスリートが準備し、子どもたちもわくわくして待っている」と説明した。ただ、「ふさわしい形」の具体策は明らかにしていない。
 宇都宮氏は「専門家の判断」と断りつつも、中止を示唆。更に招致の不正疑惑にも言及し、「検証作業は都としても不可欠。税の使われ方が適正であったか検証する」と述べた。
 小野氏は日本記者クラブ主催の会見で、パリ大会が予定されている24年に延期したい意向を示し、「可能性を探る」と述べた。立花氏も「22年の北京冬季五輪か、24年のパリ五輪をずらして東京でやる」としている。現職を含め、全候補が具体的に開催する場合の規模や中止・再延期の道筋を示していない状況だ。
 都市戦略や他自治体との連携という視点では、山本氏は18日、他の知事と連携し、国に物申す立場を強調。特に小池知事は国に「コロナ災害」を認めさせる対応を怠ったとの見解を示す。
 小池氏は「グレーター東京(大東京圏)構想」という表現で地方分権を進める考え。
 他方、宇都宮氏は都心一極集中・大規模開発優先の都政を転換し、都から「脱原発」を提案する考えも示した。小野氏がイメージするのは「多極分散社会」で、自らの職歴を踏まえて「東京が持つ人・情報・資金をセットにして地方への循環を促す」としている。
 

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