都政新報
 
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小池都政 虚像と実像~第1部 都職員アンケート(1)/総合評価/小池都政1期目の検証庁内評価は好転せず/政局優先に士気低迷1期目の点数/平均46点と厳しい見方


  小池都政の1期目について、都職員アンケートで評価してもらったところ、100点満点で平均46・4点となり、就任1年目の採点と同水準だったことが明らかになった。「落第点」「合格点は与えられない」が計64・6%を占め、厳しい結果に。回答を分析すると、政局を重視したパフォーマンスや、意に沿わない幹部職員を更迭する「粛清人事」が評価を下げる要因となっており、1年目の評価から厳しい見方が続いていることが浮き彫りとなった。       =2面に「主な自由意見」

 小池都政1期目の点数は平均46・4点で、就任1年目を対象に行った前回調査(17年7月)から0・2点下落した。20点刻みで最も多かった層は「41点~60点」で全体の36・3%を占めた。次いで、「21~40点」が19・3%、「61~80点」が17・9%で続いている。
 「0点またはマイナス点」は4・5%で、前回とほぼ同じ傾向となったが、1期目の後半を見ると、築地市場の移転延期や特別顧問の重用といった前半のような混迷がないにもかかわらず、依然として評価は上向いていない状況だ。
 本紙が過去の都政で実施した職員アンケートと比べても厳しい評価となった。石原都政3期目の2010年11~12月に実施した調査で1~3期目の評価を聞いたところ、1期目が平均71・1点で、40点未満を付けたのはわずか1・7%だった。新銀行東京や四男の公私混同問題などで批判を浴びた3期目ですら、平均48・2点を付けている。質問項目が異なるため単純比較はできないが、小池知事は大きなスキャンダルがないにもかかわらず、厳しい評価になっている。
 知事に対する評価を分析すると、高得点を付けた職員からは「行動力」「スピード感」といった回答が挙がる。従来の都政で停滞していた受動喫煙防止対策などでリーダーシップを発揮し、政策を実現した実績を評価する声が聞かれた。一方、低い点数を付けた職員からは、「場当たり的」「思い付き」「パフォーマンス」といったキーワードが散見され、責任感や職員との信頼感の欠如を嘆く実態が浮かんだ。
 例えば、80点を付けた本庁部長(50代)は、受動喫煙防止条例の成立を引き合いに、「都政全般に今までにない強力な推進力を与えている。国際的な視点も素晴らしい」と評価。80点を付けた本庁課長(40代)は「歴代の知事と比べると明らかにバランスが取れており、都政運営にも積極的に関与している」(40代・本庁課長)としている。
 また、別の本庁課長(40代)は「都庁のデジタル化は極めて遅れている。宮坂副知事を十分に活用し、突破してくれることを切に期待する」とし、都政で遅れている分野に光を当てた功績を重視しているようだった。
 これに対し、低い点数を付けた職員からは、小池知事の政治姿勢に対する辛辣(しんらつ)な意見が際立つ。
 「自らのパフォーマンス先行で、職員はそのための道具になっている。知事のために仕事をしようとはなかなか考えることができない」(50代・出先部長)
 「自分を良く見せることしか考えていない。特定の会派を悪玉にするやり方は、ワイドショー的には盛り上がるが、本当に都民のためになっているか疑問」(50代・本庁部長)
 「粛清人事」に対する反発も強い。小池都政では、条例局長から中二階の事務局長や理事に「降格」と取れる人事が横行してきた経緯がある。
 「懲罰的人事で幹部が萎縮して、自由にものが言えない雰囲気があるのでは」(50代・出先課長)
 「人事は納得性も公平性もなく、職員の士気低下が著しいのではないか」(50代・出先部長)
 落第点を付けた職員からは、補佐官制度の弊害を指摘する声も聞かれた。「補佐官が側(そば)用(よう)人(にん)と化して、目安箱もあり、庁内が疑心暗鬼」(50代・本庁部長)
 小池知事は都政の信頼回復を掲げて当選したが、5点とした本庁部長(50代)は「都政で何がやりたいのか不明」とし、「全体を見ずに部分最適で解決しようとしている。結局、知事周辺の一部で決めたことを事業局に押し付け、職員が疲弊している」と漏らした。
 小池知事の政治判断としては、築地市場の移転延期の判断などが代表されるが、50代の出先部長は「政局や時代のトレンドを捉えるセンスはあり、民間の力を都に活用しようとする姿勢はある程度評価できる」と認めた上で、「職員との距離が生まれており、相互に信頼関係が構築できていない。特にパフォーマンスが透けて見えた」と指摘。「市場問題は結局、移転時期が延び、税金の無駄遣いとなった。過去の経緯や判断を尊重・配慮せず、都民の人気取り・パフォーマンスを優先した結果、悪影響ばかりが残った」と断じた。
 小池知事はこれまで、再選出馬に関する発言をしていないが、昨年末に長期戦略ビジョンを策定。庁内では、事実上の小池知事2期目の選挙公約として受け止められている。
 再選出馬表明に先立ち、都職員にその是非について聞いたところ、反対が42・6%で、賛成の21・5%を上回る結果となった。また、「分からない」が34・5%で、候補者が出そろわない中で、回答に戸惑う傾向がうかがえた。
 「賛成」の理由については、「他の候補がいない。五輪直前で混乱を招いてほしくない」(30代・課長代理)、「合格点ではないが、五輪を他の人がやるのは無理がある」(50代・出先課長)など、目前に迫った五輪の成功を斟(しん)酌す(しゃく )る回答が目立った。
 逆に反対の理由としては、「このままの状態が続くと、都政の体力は低下する」(50代・出先課長)、「都政が更に劣化する。再選すると思うが、自分が辞めたい」(50代・本庁部長)と先行きを嘆く声も聞かれた。
■アンケートの概要 小池都政1期目の検証に当たって、昨年11~12月に都職員アンケートを実施した。本紙購読者の都職員を中心に800人を無作為に抽出。うち223人から回答を得た。有効回答率は27・9%。
 

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