都政新報
 
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【職員】都管理職選考 受験者座談会(上)


▲高い受験率となった10年度管理職選考。立教大学池袋キャンパスで。
  筆記考査への準備と対応は
管理職を目指す理由は


 2010年度都管理職選考の筆記考査が先月23日、実施された。種別A、種別Bともに、有資格者数が減少する中、全体の受験率は88・5%と非常に高い水準に達した。計画的受験の仕組みなど、受験者の負担軽減に向けた制度改正の効果が大きいが、意欲の高い受験者の増加は、選考合格への道のりの厳しさも意味する。筆記考査を終えたばかりの種別A、種別Bの受験者4人に選考の感想や勉強方法、管理職を目指す理由などを聞いた。

出席者
A:官房局(種別A事務)
B:事業局(種別A事務)
C:事業局(種別B事務)
D:事業局(種別B技術)


日頃から深い理解を
■択一

 ――管理職選考を受験した感想からお願いします。

 A 初めての受験だが、択一、論文ともに難しかった。特に択一の時事系は、表面的な理解だけでなく、数字の変化や会議の内容まで聞かれる。そのため、統計数字の変化や重要な会議の内容などをきちんと社会の変化の中に位置づけて理解していなければ答えが出ない問題が多かった。論文は、2時間50分という時間なので、結構、余裕があるのかと考えていたけれど、資料を見て、課題を抽出して、組み立ててとなると時間が足りない。準備しておかないと太刀打ちできない。

 B 今回が2回目の受験。専門人材で入ったので、択一の問題形式には、なかなか馴染めない所がある。都政事情は、プレス資料を読み込んだつもりではいたが、想定外の出題もあり、択一はやはり難しかった。昨年経験していたので、ある程度、論文も準備はできていたが、出題範囲が広いのでヨミをつけなければ対応できない。時間的にも短く感じたし、資料も多く、かなり難しかった。

 C 種別Bの財政・税務の分野で受験した。記述は600字程度のボリュームで書かないといけないので、広く浅く覚えるだけでは対応が難しい。しかし、出題範囲が相当広いので、ある程度まで、絞り込んで試験に臨んだ。論文は、税と財政の両方を用意した。今回は「地方税制度のあり方について述べよ」という出題で、用意した論文と近いものだったので、多少の加工で対応できた。

 D 種別Bの土木で受験した。記述免除で今回は論文のみ。論文の傾向としては、土木技術の分野で課題と言われているものがオーソドックスに出る。誰でも書けるだけに、内容が深まっていないと落とされてしまう。今回出たのはアセットマネジメントで、人も金も足りないという前提がある中で、高度成長期の構造物をどう更新していくかが問われた。もう一問は、工事現場で直接、住民の声に対して、どう説得し、職務を遂行していくかといった話であった。普段、仕事な中で使っている言葉でも、何が問題で、解決策なのか、箇条書きであれば出てくるが、普段から書いていないと、2千字の中に課題と解決策を三つずつ、前振りからまとめまで、その場で構成し、論文とするのはきつい。

自分以外の視点も
■論文

 ――準備しておいて良かったこと、足りなかった点はありましたか。

 A 択一の経済、経営、会計に関する知識は、公務員試験の時の蓄積があったので、当時の参考書を1冊ずつやって基礎知識を固めた。それで大体、対応できたので良かった。しかし、情報公開制度やオンブズマン制度といった行政管理、それから都政事情、政治経済等事情といった事情ものは、直前に付け焼刃的にやるのではなく、とちょう―iを見たり、重要な政策を読んで理解していくような努力を日頃からこつこつとやっていれば、もっと深い理解になった。

 B 論文では、昨年度の都のプレスを見て、大きいところをピックアップし、10年後の東京等に照らし合わせていくうちに、少子高齢化、災害対策、環境系といったテーマが出るのではないかとヤマをはり、それが当たった。しかし、災害対策では、区市町村等と関連付けて書くような資料があったが、基本的に都の部分しか見ていなかったので、国や区市町村まで目を向けた方が良かったという反省点はある。

 A 論文に関しては、私も10年後の東京の八つのテーマから、それぞれ1個ずつ書いて準備した。準備はしていても、その場で出た資料と関連付けて書くのは大変で、逆に言えばまったく準備していないテーマへの対応は難しい。従って、浅く広くでもいいから、複数のテーマについて、自分なりに三つの課題と解決策をまとめておくことが重要になる。論文の基になる資料はたくさん出るため課題抽出の選択肢の幅は広く、資料から自分が準備した三つの課題に結びつけることは特に問題なく対応できる。

 D 論文の準備では、幅広く都政や職場を取り巻く問題を出して、それぞれ課題と解決策を三つ、マトリックス図で書くのもいい。問題を10も書き出せば、かぶってくる課題がある。例えば財源の問題であれば、別のところでも同じように出てくる。それが段々、煮詰まってくれば、ヤマを張るにしても絞ることができる。もう一つ、物理的なことだが、準備には鉛筆で手を動かさないとだめ。普段、ワープロで文書を打ち、仕事をしていると、試験で手が動かなくなるし、漢字が出てこない。

 C 準備と言えるのか分からないが、普段の仕事をしっかりやることが大事だと思う。特に税務では、地方税法の総則というのは、必ず関わるもので、業務の基本・根拠になる。普段の業務において意識的に、地方税法の規定や解釈、効力等を確認し、理解を深めていくという反復的な作業ができていれば、試験直前は再確認程度で対応できると思った。都政事情については、ある程度予想を立てて絞り込み、キーワードを漏らさないように時間をかけて覚えこんだ。論文については、客観的に読みやすい論理構成にする必要があるため、早めに着手し、いろいろな人から添削してもらった。

 D 私も論文添削をしてもらったが、「今はこういう考え方が都庁の流れにある」と言われ、それを1行でも入れれば、目新しく、ほかの受験者よりも一歩出る論文が展開できるといった指導を受けた。指導を受けないと自分の視点で固まってしまう。

土日中心、通勤も活用
■勉強

 ――勉強の開始時期は、いつ頃でしたか。また普段の勉強時間は、どう確保しましたか。

 C 論文は早く書けと言われていたこともあり、11月頃から着手し、年度内には完成論文に近いものを2本準備した。家庭の事情等で、土日もなかなかまとまった時間が取れないので、普段は通勤時間を使って覚えた。

 B 勉強を始めたのは、選考の申し込みをしてから。毎日、子供が寝てから1時間勉強するくらいで、土曜日も妻の仕事があり、子供の相手で時間が取れなかった。最後の1週間は、職場に種別Bを受ける人がいたので、仕事が終わってから、一緒に2~3時間勉強した。

 D 私も3月に入ってから勉強を開始した。仕事から帰るのが、10時や11時になるので、早朝、子供が起きる前に1時間程度やるしかない。本当は毎日やればいいのだろうが、4月になると歓送迎会や飲み会もあって…。土日も子供の面倒を見たりと、なかなかできない。

 A 年度末特に忙しい職場だったので、年度中は情報収集だけして、4月から勉強を始めた。最初は択一対策、5月に入って論文を集中的に書いた。子供が小さく、子育てが大変な状況だったので、通勤電車の中や、子供が寝た後の時間などを使って勉強した。まとめてやったのはゴールデンウィークから。
 

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