都政新報
 
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小池知事インタビュー/「コスト感覚研ぎ澄まして」/来年度予算「格差と段差の解消」/都議選「市場移転問う機会」


  

 小池知事が就任して間もなく半年が経つ。この間、築地市場の移転延期や五輪競技会場の見直し、議会との関係再構築、都庁改革など、休む間もなく取り組みを進める小池知事に日本中が注目している。小池知事に就任半年の感想と今後の展望などを聞いた。

■来年度予算「格差と段差の解消」
 ─国政の場から地方自治体のトップに就任して半年が経ちます。改めて感想を。
 とてもやりがいがあります。いくつも大臣を経験しましたが、設置法によって壁がきちっと決められていて、乗り越えるのは本当に大変なんです。だから私、総裁選に出まして、自分で全体をやろうと思っていたので。その意味で都知事は全体をカバーし、全体に責任を持つということでとてもやりがいがある。
 ─都庁職員の働きをどう評価しますか。
 非常にしっかりと私の方針をのみ込んで、的確に対応してくれています。これまでと勝手が違うということもあろうかと思いますが、そこは皆さん、真剣にサボタージュもせず、されているかもしれないけど、でも非常によくやってくれて、とても信頼を置いています。これまで2回の定例議会を経て、その間に都政を確実に前に進めるという共通の目的を知事と職員が共有できたからに他ならないと思っています。
 ─一方で課題や職員への注文は。
 国政との最大の違いは財源の話。東京の場合は財源もさることながら、それに対してどのような予算付けをしていくか、絶対的に違うところです。それだけに、逆に言えばコスト感覚、それから投資感覚をより研ぎ澄ませる必要になってくると思います。そのベースは、都民から見てどうなのかということ。そのためにオリンピックの予算を削っていく。一方で投資をすべきところはしっかり投資をする。
 ─具体的に投資すべき部分とは。
 エネルギー小国の首都ということを考えれば、最大のエネルギーは人材です。例えば教育の機会や格差、女性が働く場合の格差、若者の機会の格差、こういった格差とパラリンピック・オリンピックを控えて、まちの段差を解消し、バリアフリーにしていきたい。予算編成の真っ最中ですが、「格差と段差」をなくしていくことを大きなテーマにしていこうと思います。
 ─これまでの取り組みでは市場の移転延期や議会との対立などに注目が集まり、待機児童対策の補正予算はありましたが、地方自治体としての政策の打ち出しが弱い印象もあります。
 それはメディアの問題だと思います。むしろ日本は怒涛(どとう)のようなメディアの流れがかえって、日本全体の内向き志向を加速させていると思っていますね。
 ─逆にメディアを利用してきたのは小池知事のような気がしますが。
 利用はしていません。むしろコンテンツを提供している。テレビなどは随分、制作費を削減していますよね。
 ─都庁改革を進めていますが、進展具合をどう見ていますか。
 スピーディーに取り組む部分と時間をかけるところと両方あります。スピーディーに取り組むところは例えば、かつて知事資料はA3(判)だった。それを一晩でA4(判)に変えました。今はノンペーパーです。知事査定の時は1枚も紙はありませんでした。これこそ働き方改革のベースになるテレワークを定着させるということの第一歩が進められているということですね。こういったことを報じないのはメディアの責任だと思わない?
 ─では、時間をかけて改革する部分は。
 中長期は女性の活躍ですね。すでに女性の職員の女性の比率が4割に近くなっている。(女性職員)全体の2割に近い数字が管理職というのは、組織として非常に高いと思います。これは数年後に更に高くなっていくので、絵に描いただけの女性活躍ではなく、都庁における女性の活躍というのは日本のモデルケースになるという自信はありますね。
 ─都庁改革では、議会の議案に対する事前調整の見直しも進めていますが、職員には戸惑いも見られます。
 それは、これまでがおかしかっただけの話。当たり前にするだけの話です。

■都議選「市場移転問う機会」
 ─知事選で「市場移転を立ち止まって考える」と主張しましたが、公約には掲げていませんでした。民意を問うお考えは。
 どう判断するかはそちらの自由ですが、私の主張は10年前から変わっていません。
 ─ベンゼン等が基準値を超える地下水のモニタリング調査結果が出ました。改めて移転についての考えは。
 (最終調査結果の)数字が出てしっかりと厳しく受け止めていきたいと思っています。判断については専門の方々に議論していただいて、再調査もするということですけども、再調査は数カ月がかかるというんですね。私はやはり、業界の方々、業者の方々からすればこれでさらに判断が延びるということで、今後に対しての不安感が増していると感じています。調査結果をしっかりかみ締めたい。
 ─市場移転は長い時間をかけて関係者と調整し決定した事項です。「新政権だから見直し」では、行政の継続性からも都民に不安、不信感を抱かせませんか。
 サンクコスト(埋没費用)に当たるかどうかを客観的に判断したいと思います。
 ─あくまでコストの問題ということですか。
 もちろんですね。
 ─市場移転は今夏の都議選の争点になるとの発言もありましたが、どう考えていますか。
 これまで関わってきた人にしっかりとこれまでの経過を聞いてみたいということもあります。今後どうするかについて、(都議選で)都民に伺うのは一番良い機会ではないでしょうか。
 ─ありがとうございました。

(聞き手=後藤貴智)


 

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