都政新報
 
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TOKYO2020五輪への航海図(5)/「髪が抜け落ちそうに…」/混迷の聖地(5)

 
   「金額を聞いた時、私の頭に残っている髪が抜け落ちそうだった」
 1日、クアラルンプールで開かれたIOC総会。五輪組織委員会の森喜朗会長らが新国立競技場の計画撤回などを説明し、委員との質疑に入ると、欧州出身の委員が冗談を交え、巨額の建設費に対する驚きを表現した。「日本がお金を使い過ぎたら、他の都市が五輪招致に名乗りを上げにくくなるのでは」
 IOCはこれまで新国立について「政府の問題」としていたが、建設費に対する「とんでもない」という認識は少なからずあったのだろう。
 IOCのトーマス・バッハ会長は建設費の高騰という事情に理解を示しつつ、「新国立の質やコスト管理、時間が保証されるよう入札に関与すべきだ」と言及し、ジョン・コーツ調整委員長も進捗を注視する考えを示した。大会の映像を各国の放送権者に配信する「オリンピック放送機構」(OBS)との調整や開閉会式の準備が必要になる。
 プレゼンテーションを終えた森会長は、武藤敏郎事務総長や河野一郎JSC理事長ら幹部とソファで一息ついてから、報道陣の前に姿を見せた。
 「日本が頼りないからということではなく、時間がなくて後戻りできないから、(IOCが)介入していきますよ、一緒にやらせてくださいということだと理解している」
 森会長はIOCの意向を安倍首相や遠藤利明五輪相らに伝え、組織委はIOCとの「仲介役」として関わる意向を示した。
 IOC委員との質疑について、「コーツさんとバッハさんが、私が答えてもあんなにうまく答えられないと思うくらい、見事な説明をしていた」と森会長。「我々の気持ちをくんでくれているし、日本の進め方についても十分、理解をしてくれていると改めて感じた。IOC会長を始め、役員の期待に応えて計画を進めていかきゃならんなと決意した」と語った。
 

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