都政新報
 
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管理職になりたい? 特別区職員のホンネ(上)


  

honnne「責任重く不安」の声


 11月8日、今年度の特別区の管理職選考合格者が発表された。Ⅰ、Ⅱ類合わせて171人の管理職候補が誕生したが、事務で明らかにされている需要数に満たない区も多かった。有資格者に対する申込率は2004年度以降、ずっと5%台。今年も5・4%と低迷を続けている。原因は何なのか。どのような対策をとるべきなのか。特別区人事委員会では05年度と08年度の2回、管理職への昇任に関する職員意識調査を行っている。上・下に分けて、その結果から見えてくるものを探る。
 
 1回目の調査が行われたのは、2005年度。管理職選考の受験者減少の要因を把握するとともに、受験喚起策や制度のあり方を検討する基礎資料とするために実施された。

 調査対象は1300人。Ⅰ、Ⅱ類の有資格者が1070人、部課長が230人という内訳だ。

 注意を要するのは、調査対象としたⅠ類有資格者801人のうち、「過去5年間に受験経験のある人」が230人、「05年度選考の成績告知希望者」が341人で、受験にかかわりがあった人が合わせて571人と、かなりを占めていることだ。かたや「過去5年間に受験経験のない人」は230人。Ⅱ類でも同様の母集団の構成となっていることから、特別区人事委員会では「結果として、管理職選考への意欲が高く出ている傾向を差し引いて考えなければならない」と説明する。

 回答者は1028人で、内訳はⅠ類とⅡ類の有資格者830人、部課長198人。回答率は79・1%だった。

 有資格者の昇任意識では、「(管理職に限らず)昇任したいと思いますか」との問いに対し、Ⅰ類では「自分なりに努力し、結果として昇任できればよい」が56・5%、「できるだけ努力をして昇任したい」が21・6%を占め、「昇任したくない」は5・5%だった。

 Ⅱ類では、「自分なりに努力し、結果として昇任できればよい」が47・8%、「できるだけ努力をして昇任したい」が9・7%。「昇任したくない」は14・5%だった。

 「昇任したくない」と答えたⅠ類34人、Ⅱ類30人に、どのような点から昇任したくないと考えるのか、複数回答可能で聞いたところ、Ⅰ類で突出して多かったのが、「責任が重くなり、職責を全うできるか不安」で73・5%に上った。特別区人事委員会では「Ⅰ類を受験する若い世代の不安感が表れたのではないか」とみる。

 次いで多かったのは「仕事に拘束され、プライベート面に影響が大きい」で、58・8%だった。

 Ⅱ類でも、1位と2位は同様の項目だった。

 一方、部課長に対し、管理職選考の受験者数の減少傾向の要因を尋ねたところ(複数回答可)、最も多かったのは、「職責に対し、給与処遇が見合っていない」で74・7%。有資格者で「昇任したくない」と答えた人では、「給与処遇が見合っていない」と回答したのはⅠ類で32・4%、Ⅱ類で33・3%にとどまっているのと好対照だ。

 実際に管理職になる前は、給与処遇には漠然としたイメージしかなく、なってから給与処遇面での不満が表面化してくると考えられる。部課長の回答の2位は「仕事に拘束され、プライベート面に影響が大きい」で54・0%だった。

 特別区人事委員会では、05年度の調査結果を受けて、「受験意欲を喚起する方策として、やりがいや達成感を感じられる仕組みづくり、困難な職務をバックアップする体制づくりが必要ということが分かる。ただ、各区においても多様な取り組みを行っているが、申込率上昇には至らないのが現状」と話す。

 調査を実施した05年度の管理職選考への申込率は5・5%。その後も06年度5・4%、07年度5・3%、08年度5・5%と申込率低迷は続き、08年度には、管理職候補者90人を集め、5、6人のグループインタビュー形式でヒアリングする別の角度からの意識調査を行うことになる。


 

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