都政新報
 
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小池知事新春インタビュー/稼ぐ力伸ばす東京に/来年度予算「気候変動対策」も柱に


  都の来年度予算編成作業が本格化している。開催直前となる東京五輪の準備に加え、団塊の世代が後期高齢者に達する「2025年問題」など五輪後の都政課題への対応も本格化する。一方で、小池知事の1期目の任期も残り1年半となり、公約達成に向けた取り組みも加速することになる。予算編成や2020年度以降の都政課題などについて、小池知事に聞いた。

 ─来年度予算で強調したい部分は。
 2020(東京)大会も推進力にして、成長を生み続けられ、未来に通じるような道筋を力強く歩む予算と位置付けている。世界が激動する中、産業も大きく変わり、金融もかなり不安定な部分がある。世界の中の日本、その中の首都・東京も、不透明なところがあると思う。また、東京は昨年暮れの税制見直しによって、(20年度以降の)財政が著しく毀(き)損(そん)する中、(地方との)共存共栄という観点は必要だが、やはり東京は稼ぎ続けなければいけない。稼げる東京、稼ぐ力を伸ばす東京という見方からも予算編成を行っていく。
 昨年は「災」が人の心を揺さぶった。災害について都民の危機意識が非常に高まった。長年、環境大臣などを務めて気候変動を訴えてきたが、かなり想定を超えて災難がやってきている。災害対策というよりも気候変動対策と銘打ち、(来年度予算の)柱にしていかなければと思う。
 ─五輪後を見据えると、五輪準備局や組織委に派遣している職員を新たな政策に生かすことが必要になるが。
 約1千人(の職員)がメガイベントを成し遂げていろんなところでいろんな役割を担って無事に都庁に戻るのは、とても貴重だ。戻って来る方々には、その経験をベースにしながら更に都政を磨く役割を担ってほしい。また、戻ってきた人たちの感覚などは、ずっと都庁を守ってきた人たちに良い刺激になり、お互い呼応し合うような都庁の体制に持っていければ良いなと思う。
 また、都政も世界も大きく変わり、職員はもっと世界を見て来るべきだ。(都庁では)かなり内向きに(仕事を)行ってきた部分があるので、外を見ることによって刺激を受け、世界の中の都市・東京にしていかなければ置いていかれる。世界で戦う東京にしたい。そのためには世界で戦う職員が必要になり、実際に外に行って見て来ることを奨励している。
随時プランを見直し
 ─昨年の4定では組織の再構築の必要性に言及した。
 組織というのは保つことが目的ではなく、機能をどう生かすかだ。それに応じて柔軟性を持って都民のために、より機能を高めることが必要になってくるのではないか。いろいろな提言を生かしながら、都民に対して最もふさわしい組織形態、それから職員がやりがいを持って進められるような組織作りが必要だと思っている。
 ─2020年の先を見据えると、その先のビジョン(長期計画)が必要では。
 2025年にベビーブーマー(団塊の世代)のみなさんが後期高齢者入りするということは紛れもない事実。気候変動は(25年よりも)さらに遠くを見越した上で、そこから振り返って今、何をすべきかというバックキャスティングの手法なども必要になってくる。2020実行プランについて、目標の年度や達成のパーセンテージの見直しは随時行っていきたい。
 ─2020年以降の長期ビジョンはいつごろ打ち出しますか。
 タイミングを考えながらになる。
責任とやりがいを
 ─偏在是正を踏まえた国と都の実務者協議会の設置が決まった。どう取り組むか。
 基本的に都が今後、進めるテーマは羽田(空港)の機能強化、外環道(関越道~東名高速)の早期実現、鉄道など。こうした分野は、国との連携なくして実現が困難。将来への稼ぐ力もそうだが、高齢化する中で交通網一つとっても何が必要なのか、国と連携しながら進めていく。協議体ができたことは期待でき、一つひとつ詰めて実現の方向に持っていきたい。
 ─残りの任期が1年半となり集大成の年となる。職員に求めることは。
 東京大会の成功は極めて重要な都としての役割。その明確な目標に向かって、さらにその後の東京のビジョンを共有しながら、しっかりと責任とやりがいを持って進めていってもらいたい。
 

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