都政新報
 
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東京最前線/野田数・知事特別秘書に聞く(下)/耳障りの悪い話も知事に/都民ファの役割、深掘りを


  ─「都民ファーストの会」は支持率が低迷し、調査によっては0%となっています。各区選挙でも連敗しており、3年後の都議選での劣勢は必至です。
 私は昨年9月に代表を辞任して以降、党運営や選挙に関わっておらず、誰がどういう判断で何をやっているか分からない。選挙は都民ファ執行部の指揮下で戦ってきたはず。
 ─公明党が「是々非々」という中で、唯一の支持勢力が仮に数を減らすとなると、小池知事の都政運営も苦しくなるのでは。
 ただ、私自身は現下の政局の中で議会対応を行わなければならないため、一党一派に偏らず、ニュートラルな立場に身を置かざるを得ない。したがって都ファを手助けできないのが実情だ。
 ─しかし現状は苦しい状況が続いています。知事の支持率は回復している一方、都民ファの支持率は右肩下がりで、所属議員の党への求心力が低下しています。
 一般論として、政党支持率があまりにも低くなってしまうと、党勢回復が困難な上に他党との選挙協力ができなくなる。よって、低迷する前に立て直さなければならない。
 ─都民ファに対しては、既存の政治に染まっていないということに期待して都民が支持した面もあるのでは。個々の議員の活動についてはどう見ますか。
 新人で民間出身の議員の中にも、能力が高い人は多数存在する。私が代表の時からその人たちを活用するよう言ってきた。逆に記者の視点でどう見えますか。
 ─各議員のパフォーマンスは高くても、会派全体としては生かし切れておらず、議会の中で存在感を発揮できていないように思います。
 私が(候補者を)面接し、公認する中で期待したのは、それぞれの専門分野の能力を発揮してほしいということ。都庁が打ち出す政策とは違う発想で、政治活動してほしいという期待を込めた。東京都が首都としてどのような役割を果たさなければいけないかを明確にし、具現化できる人材を選んだつもりだ。志を高くもってもらいたい。
 ─都議会の任期は残り3年です。党の支持率が低迷する中、各議員に期待することは。
 細かい政局をこねくり回すのではなく、地に足をつけた活動をしてほしい。政治は結果責任だから、行政の実績を自分たちの手柄のように喧(けん)伝(でん)するのではなく、議員個人が具体的な成果を出さなくてはならない。
 各会派にはそれぞれ役割がある。例えば公明党は建設的な政策を提案し、実際に多くの成果を出して都政の牽(けん)引(いん)役になっている。自民党はかつて最大会派の時代に、都庁マンが都政を動かす上で同党を頼りにしていた。都民ファはどのような役割を果たすべきかを深掘りしないといけないのでは。
 ─1期目後半戦に入り、小池都政の重点課題は何ですか。
 小池都政がどのような期待で誕生したかを考えると、「今までの閉塞感を打破してほしい」「都民ニーズに応えられる都政にしてほしい」ということだと思う。
 国のGDPは首都のGDPに引っ張られるから、東京が力を付けないと日本は再生しない。国家には国家戦略があるように、東京には首都戦略が必要だ。
 ─一方で、都庁内からは「小池都政はパフォーマンスばかり」という批判があります。都政にとって本当に重要な課題に手を付けていないと。
 どのような意見であれ、庁内世論に耳を傾けなければならない。
 ─軌道修正が必要では。
 私は特にこの1年間、自分の役割として、知事に耳障りの悪いこともしっかり言ってきたつもりだ。今後も必要なことは提言していく。
 ─ただ、知事は耳の痛いことを言う人を遠ざけるようにも思えます。例えば小池知事が昨秋、国政進出を考えている際、反対を進言した野田特別秘書の立場がそうだったのでは。
 それをやる人がいないと都政は回らない。知事の国政進出に反対してきた公明党が与党を離脱し、前年度一般会計予算に賛成した自民党や共産党は知事批判を展開し、野党色を強めた。議会で過半数を押さえていない以上、予算は否決され、不信任を出されれば知事の首が吹っ飛ぶ。ここ数カ月、本当に小池都政崩壊の瀬戸際だった。今でも(国政進出の)後遺症は議会や庁内に強く残っている。
 仮に私も国政に突っ込んでいたら、公明党を始め議会からの信頼を完全に失って、調整も何もできなかっただろうし、小池都政を守りきれなかったと思う。
 ─都政を進める上では職員を生かすことが必要ですが、小池知事と職員との間に隙間風があるように見えます。特別秘書の役割が重要になるのでは。
 どうしても権力者の周りには、ごますりというか太鼓持ちが多く集まってくる。国政進出にせよ特別顧問にせよ、彼らはあおるだけあおって物事が失敗に終わっても責任を取らず、逃げてしまうだけだ。「敗戦処理」はこちらでやらざるを得ない。
 結局、知事は職員を頼り、使いこなすしかない。そのためにも隙間風を作らないよう汗をかいていきたい。
 

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