都政新報
 
 >  HOME  >  連載・特集
東京最前線/野田数・知事特別秘書に聞く(上)/議会との関係、真摯に構築


  小池都政の発足から2年が経過した。当初の小池人気に陰りが見え始め、知事与党である都民ファーストの会の支持率も低迷するなど、都政運営の環境は徐々に厳しくなってきている。これまで知事の最側近の一人として主に選挙対策や議会対応などを担当してきた野田数特別秘書に1期目前半の2年間を振り返ってもらうとともに、議会との関係や都政の課題について聞いた。

 ─小池都政2年を振り返って。
 1年目は都知事選に始まって、千代田区長選、都議選と選挙一色。特別秘書として任命を受けてから日々、勝負だった。1年目はいかに公約を実現するかに奔走した。オリンピック・パラリンピック準備や築地市場の移転など、前政権からの積み残しの課題もあったので、いかにクリアしていくかで息つく暇もないほどの忙しさだった。2年目は主に衆院選以降の議会の与党体制の再構築が課題だった。
 ─議会対応はどう評価していますか。
 予算について議会調整を担当したが、小池都政で初めての一般会計(17年度)は39年ぶりに全会一致で賛成を得た。今年度予算も出来るだけ多くの会派から賛同をいただきたいという思いで取り組んできた。とりわけ公明党は、都議選で同じ与党として戦ったわけだから、同党の理解をいただけるように、最重点に考えて取り組んできた。
 ─思い通りにいきましたか。
 必死でしたからね(笑)。今年の都議会第2回定例会が終わった段階でも、公明党の東村邦浩幹事長からは「是々非々」と言ってもらっているので、引き続き真(しん)摯(し)に同党との関係を構築できればと思っている。
 ─自民党との関係については。
 残念ながら今年度の一般会計予算には賛成いただけなかったが、私自身は自民党とも調整してきた。引き続き丁寧に対応したい。
 ─自民党との溝は埋まっていないように思います。
 昨年の都議選後、都民ファーストの会代表を辞めて以降、都議会の各会派とはニュートラルにお付き合いできるよう、政治色を消してきたつもりだ。特別秘書は本来、公務員の特別職だから政治的中立性は求められていないため、(政治的に偏ったとしても)法律に抵触するわけではない。ただ、議会運営上、ニュートラルな立場にいた方がいいということだ。個々の議員からの相談は党派を問わず受けているが、一党一派に偏って何かしたということは一切ない。そもそも、一昨年の特別秘書就任以来、都政を前に進めるためにイデオロギーや政党で区別したことはない。 
 ─自民党都連との関係では、小池知事は当初、「ブラックボックス」と批判していました。その姿勢が改善しないと都政が前進しないのでは。
 都知事選に関して言うと、小池知事は元々、自民党の国会議員で、党三役などの役職も務めていたにもかかわらず、推薦は得られなかった。一方、自民党とは関係がない上、東京に縁も見いだし難い増田(寛也・元総務相)さんが出てきた。自民党の支持者を含めた有権者は小池を「自民党系」と見ていたのだと思う。少なくとも、自民党本部とは対立していなかったのではないか。
 ─ただ、昨秋に「希望の党」を立ち上げて国政に出る段階で、党本部とも対立する形となりました。
 私としては都民ファ代表の時代から、国政進出に反対し、知事にも進言してきた。私は国政選挙には1ミリも触っておらず、小池知事がどのような経緯で国政に関わったのか、どのような意向だったか、漏れ伝わる話程度しか分からない。現在では、知事本人は「都政に邁(まい)進(しん)する」と言っている。
 ─官僚からすると、都政課題を解決するには、国との関係を含め、自民党とうまく連携しなければならないということがあります。
 その通りでしょう。
 (9月14日号に続く)
 のだ・かずさ=知事特別秘書。早大教育卒。都議などを経て現職。都知事選、都議選の最高責任者を務め、都民ファーストの会や希望の塾を設立、運営。衆院選直前の17年9月まで党代表を務めた。
 

会社概要  会社沿革  事業内容  案内図  広告案内  個人情報保護方針