都政新報
 
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小池都政2年~1期目前半を振り返る(8)/信賞必罰/左遷人事で士気低下


   「懲戒処分などのしかるべき対応を取っていく」。2016年10月の3定の一般質問で、小池知事は豊洲市場の盛り土問題を巡り、退職者も含めた市場長らを処分すると明言した。実は知事の答弁書には当初、「懲戒処分など」の文言が記載されていなかったが、当時の小島敏郎特別顧問が独断で加筆したとされる。結果、元市場長ら18人が懲戒処分となり、都庁内からは「見せしめだ」と戦々恐々とする声が上がった。
 これに先立ち、事実上の「粛清」と受け止められた市場長ら幹部3人の左遷人事も同月に行われた。小島氏は都幹部を前に、市場長らが盛り土問題の責任を取る必要があるとの考えを示し、左遷後は事実上の閑職となった。
 官房系の幹部は「たまたまそのポストに就任していた幹部が詰め腹を切らされるのは宿命かもしれないが、こうした人事が小池都政で続けば、幹部の成り手が減るかもしれない」と不安がる。
 さらに、今年の春期幹部異動では、条例局長が理事に降格する人事も行われた。庁内では、「知事が私情を交えたのか」「自民党との近い関係が災いしたのか」などの見方とともに、副知事が防波堤にならなかったことへの批判が噴出した。
 ある事業局の幹部は「なぜ、(当時の)副知事は体を張って、この人事を止めなかったのか憤りを覚える。あからさまな降格人事を見せ付けられると、モチベーションが下がる」と不快感をあらわにした。
 ひとたび人事の秩序が崩れると、なかなか元に戻すことは難しい。豊洲市場に計画中の千客万来施設の運営事業者たちが見た小池知事の3度の謝罪は、事業者への配慮が足りなかったことへの対応だったが、庁内からは幹部人事でも配慮を求める声もある。
進む女性登用
 一方で、知事は今春の幹部異動で女性の登用を進め、本庁部長級以上の女性幹部が46人から54人に増えた。知事はこれらの女性幹部を一堂に集め、「より都民に寄り添った生活者の目線が生かされ、より質の高い都政につながっていく」と女性登用の意義を強調した。
 また、今春の幹部異動ではICTや結婚支援など8大プロジェクトを担う政策企画局次長や理事のポストを新設したが、兼務した理事5人のうち女性が3人を占めた。都幹部は「男性だけでなく、女性の局長級がいろいろとアイデアを出しており、知事の受けは良い」と評価する。
 さらに、受動喫煙防止条例の成立などに貢献した梶原洋氏が福祉保健局長から政策企画局長に異動となるなど、信賞必罰が小池知事の基本的姿勢と言える。だが、今春の幹部異動では短期異動などが目立ち、事業局の職員は「最低2年間は経験を積ませるべきだが、これでは知事が思い付きで人事をやっているように見えてしまう」と指摘した。
 たとえ、「思いつき」であっても、組織運営上、職員のモチベーションが上がれば、成功になるとの見方もある。歴代の知事で小池知事は人事への関心が最も高いと言われ、内示直前で人事を差し替えるケースもあった。それが職員や組織にどのような影響を与えるのか立ち止まって考える必要がある。職員や組織を生かすも殺すも人事次第だ。
 

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