都政新報
 
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【天下一品・ふるさと味自慢】 天下一品・ふるさと味自慢3/鹿児島県「白熊」/父と二人で映画帰りに

 
  さくらんぼ、いちご、レーズン、
白豆などがぎっしり乗った白熊
 鹿児島出身の私にとって、夏にお薦めの一品は?と聞かれてすぐ浮かぶのは「白熊」です。
 「白熊」というのは、削りたての氷の山に、さくらんぼやレーズン、プルーン、アンゼリカ(フキの砂糖煮)、白豆などが飾られていて、ミルクと蜜がたっぷりかかっている、大きめのかき氷のことで、飾りのレーズン等の配置が動物の白熊の顔に似ていたことから、その名が付いたそうです。
 鹿児島では、喫茶店やレストランのメニューにも「白熊」がありますが、本家は鹿児島市内の繁華街にある「天文館むじゃき」という店で、1947年に考案されたそうです。秘伝の自家製ミルクと蜜がとても美味しくて、鹿児島を代表するスイーツとして、ガイドブックで必ず紹介されています。
 小学生の頃、夏休みに、父と「東映まんが祭り」という子供向けのアニメ映画二本立てを見た帰りに、映画館のすぐ近くの「天文館むじゃき」に寄るのが楽しみでした。基本の「白熊」のほかに、「ストロベリー白熊」や「チョコレート白熊」、「プリン白熊」など種類もたくさんあり、どれにしようか悩むのも楽しい時間で、自分の顔よりも大きい氷の山を、冷房が効いた店内で、だんだん肌寒くなって頭をキーンとさせながら、時には途中でお腹が痛くなることもありましたが、いつも完食していました。父も必ず注文し、「うめね~(おいしいね)」と言いながら食べていました。
 中学、高校生になると、さすがに父とは行かなくなりましたが、友達とよく行ったものです。父は父で、スーパーで売られているカップ入りの「白熊」を今でも時々食べています(余談ですが、鹿児島県民は甘党が多いのです。何しろ、しょうゆにも砂糖が入っていますから)。
 上京したての頃、「白熊」を食べたくて、東京出身の友人に、「東京では白熊を食べないの?」と聞いたら動物の白熊と勘違いされて、初めて「白熊」が全国共通の食べ物ではないと知り、驚きました。
 最近は東京でもコンビニなどで、カップや棒の「白熊」が販売されており、認知度も増し、簡単に入手できますが、私にとってはやはり「天文館むじゃき」が一番です。ちなみに、お取り寄せもできます。ただ、カップ入りで実物より小ぶりな上、送料等で高くつきますが。
 そして、もうひとつ、鹿児島の夏の風物詩として、ご紹介したいのが「ソーメン流し」です。
 竹筒にソーメンを流す「流しソーメン」と異なり、「回転式ソーメン流し器」という器械を用います。ドーナツ型の枠の中に冷たい水がずっと流れ続けていて、回っているソーメンを取って食べます。
 ソーメン流し発祥の地は指(いぶ)宿(すき)市で、市が経営する「唐船峡」が有名です。店のメニューはソーメンのほかに、鯉こく、鯉のあらい、マスの塩焼き、そして塩むすび。暑い夏、鯉とマスが遊泳する清流と緑の中で、ゆったりと座って食べる冷たいソーメンは格別です。
 東京に「ソーメン流し」の店がないと知った時もショックでしたが、出産祝いで家庭用「ソーメン流し器」をいただき、今では自宅で子供たちと楽しんでいます。
 今回ご紹介した「白熊」と「ソーメン流し」は、鹿児島を旅行する友人には必ず薦める自慢の味です(どちらも一年中食べられます)。私のつたない文章では、そのおいしさを十分伝えられませんし、現地で味わうのが一番ですので、興味を持たれた方は、かごっまにおじゃったもんせ(鹿児島にいらっしゃいませ)。
(議会局調査部調査情報課情報企画担当係長 福岡淳子)
 

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