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猪瀬副知事に聞く/自助・共助の災後社会へ

IMG_4830 作家の猪瀬直樹氏が東京都の副知事に就任して、4年が過ぎた。地下鉄一元化、高齢者の住まい、水ビジネス、「活字離れ」対策など、様々な課題に取り組んできた猪瀬氏。2期目は、東日本大震災を踏まえて、天然ガス発電所の建設や防災ステーションの構築などに挑む。自ら太陽光発電パネルを設置した港区西麻布の事務所で、2期目の抱負を聞いた。

■天然ガス発電所
 第一に、都が、100万キロワット級の天然ガス発電所を造るというメッセージを発信することで、構造改革のてことしたい。
 場所は、地盤の問題や羽田空港の飛行経路の角度の問題など、フィージビリティースタディーをした上で、いくつか候補を挙げて選ぶことになるだろう。東電の変電所がどこにあるのか、東ガスのパイプがどこにあるのか、それらを加味して工事コストが出てくる。その上で、何が最も効率的なのかを検討する。
 普通は、東ガスや石油会社のような民間がやることだ。役所的な発想だと、下水処理場や浄水場に2万キロワットの発電所を造りますという話で終わってしまう。役所はそもそも規制側で、その規制側から発電所をやろうというのが大事だ。
 900万キロワットの福島原発が全部止まり、800万キロワットの柏崎刈羽原発が止まると、一番不安なのは産業界だ。会社の中期計画が立てられない。韓国や中国、ベトナムやタイに工場を造るしかない。菅首相のようにコロコロと腰が定まらないと、会社としてやっていけない。
 都が100万キロワット級の発電所を造るから、とりあえず企業は生き残れます、東京にいてくださいというメッセージを出すことが大切だ。
 川崎の天然ガス発電所を視察した。天然ガス発電は、発電効率が1・5倍も良い。ガスでタービンを回して発電し、その蒸気でさらに発電する。ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)と言うが、要はハイブリッドだ。
 この発電所の敷地は、緑地を含めても6ヘクタールしかない。新宿中央公園は9ヘクタールだ。天然ガス発電所の建設コストは、2基で500億円。原発と比べてもコストははるかに安い。天然ガスの埋蔵量は無尽蔵にあるし、産地を分散できる。何よりもクリーンなエネルギーだ。
 孫正義氏の自然エネルギーは、普及するのがいつになるか分からないし、発電効率も悪い。電気は貯金できない。孫氏はそれも分かっていて、メガソーラーはあくまでピーク時電源対策と考えている。恒常的な電力不足は、メガソーラーではカバーできない。
 JRは自家発電を持っていて、自分の電車を動かしている。都営とメトロを一元化して、都が建設する天然ガス発電所から電気を供給すれば、間引き運転もなくなるだろう。都営が12万キロワット、メトロが24万キロワット、合計36万キロワットは保証できる。救急病院でも電気が保証される。
 これから東電は立場がだんだん弱くなる。いつまでも威張っていられない。都が天然ガス発電所をやることで、東電の地位は下がってくる。
 東電は送電線を持っている。電線は本来、公共財産だが、電電公社はもうかっていたから、NTTとして民営化する時に上下一体にしてしまった。東電の送電線も、どういう公共性を持つのかの議論をする機会に、きっかけを作っていかないといけない。
 その時、「原発反対」「脱原発」とか言っていても、送電と発電の分離は具体化しない。都が具体的に発電所を発想することによって、送電線の話をしないと動かない。
 日本国は駄目だが、東京国はやるよってくらいの気持ちでメッセージを出さなければ駄目だ。


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