ブラックホールの深淵～「一極集中」の正体（上）／知事会の攻防／人口減少の地方遺恨根強く／「補完」の文言もぎ取ったが

　「人口減少問題を克服しともに希望ある未来の創造を追求することを誓い、都市部と地方部が相互に補完し合う共生関係を強めながら、一致結束して静かに進行する国難克服に当たっていく決意を新たにした」
　７月に青森市内で開かれた全国知事会議。最終日に取りまとめられた人口減少問題に関する提言には、こんな文言が盛り込まれた。
　この１文は、知事会の一部が東京の人口過密を狙い撃ちする中、事務レベルの折衝で直前に差し込まれた内容。都市と地方の共存を示唆する趣旨で、政策企画局がギリギリまで調整を重ねてもぎ取った成果だった。　
　都側は昨年度、「人口や産業が特定の地域に集中している」とする知事会の提言案に猛反発。しかし結果的に文言を落とすことができず、都側の言い分を〝注記〟として記載することで折り合った苦い記憶がある。