「えっ、もうないんですか」。16日午前10時過ぎ、八丈町の三根公民館を訪れた町民の女性が困惑の声を上げた。目当ては、この日から町内4カ所で配布が始まったペットボトルの飲料水。公民館では当日、午前8時30分から午後5時15分まで配布する予定だったが、開始から30分足らずで用意していた720本は底をついた。「自宅が断水していて、飲料水は欠かせない。早めに来たつもりだったのに……」
離島の同町では水道水の大半を東部の三原山の湧き水に頼っている。しかし、8日から13日にかけて島を襲った台風22・23号によって全7カ所の水源が土砂に埋まったり、配水する管路が破断したりして町全域が断水。発災から1週間以上が経った21日時点で、中心部の大賀郷や三根地区で水の供給が再開したものの、山が近い中之郷や末吉地域をはじめとする約1100世帯では断水が続く。