若手の映画監督とシンガーソングライターが、ADHD(注意欠如多動症)やアスペルガー症候群などの理解促進のため全国を駆け回っている。その名も「凸凹(でこぼこ)ぴーすプロジェクト」。2人はADHD当事者で、自らが広告塔になることで啓発とともに、ADHD当事者や生きづらさを抱える人に「希望のメッセージ」を届けている。
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「できない自分が悪いんだとずっと思ってきた。なんでこんなにできないんだろうと自分を責めてきたが、ADHDと知ることで少し自分を許せるようになった」─。
8月29日、埼玉県所沢市にある発達障害者のための就労移行支援事業所で「人生はYes、and~ADHDで生きづらい僕が笑顔になれた理由」と題したイベントが行われた。登壇したのは「シネマッツン」の名で映画監督として活躍する松岡峻さんと、「生きづらいけど生きてやる系シンガーソングライター」と自称する風見穏香(しずか)さんだ。
松岡さんが映画を撮り、風見さんが主題歌を歌う。この日のイベントでは映画の鑑賞とともに、2人がこれまでの生い立ちや生きづらさを吐露。当事者ならではのリアルな言葉と、生きづらさを抱えながらも前向きに活動する姿勢に、参加者らは真剣なまなざしで耳を傾けていた。