神奈川県立保健福祉大学大学院・津野香奈美教授に聞く(上)/公務のハラスメント、減らぬ理由は/余裕ない職場環境が要因/深夜の頻回連絡は「アウト」 4月のカスハラ防止条例施行を受け、公務職場でも各種ハラスメント対策が急務となっている。一方、2023年度、東京都人材支援事業団に寄せられたハラスメントの相談は172件に上り、減少する気配はない。なぜ公務職場でハラスメントが減らないのか。公務職場のハラスメントに詳しい神奈川県立保健福祉大学大学院の津野香奈美教授に聞いた。
─なぜ公務職場でハラスメントがなくならないのでしょうか。 まず公務職場は民間と比較し、業務量の調整がしにくい。また地方公務員は人員が減らされており、余裕のない職場環境になっている。人的余裕がないにもかかわらず業務量は変わらないどころか、むしろ増えている。 さらに公務職場は基本的に要求度が非常に高い。にもかかわらず裁量権が低いので、ストレスフルな職場になりやすい。そういったストレスフルな職場だとメンタルヘルスに不調が出やすい。人や業務に余裕があればマネジメントも丁寧にできるが、それができないとパワハラ気質の管理職を生み出してしまう。
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