定年引き上げと高齢期職員の働き方 東京保健医療専門職大学特任教授 澤田千秋(1)/当初予定から10年、ようやく実現/遅れに遅れた開始時期 2023年度から、公務員の定年年齢の段階的な引き上げが開始された。その経緯と諸課題について、特別区人事厚生事務組合で人事企画部長などを歴任した東京保健医療専門職大学の澤田千秋特任教授に寄稿してもらう(全5回)。
公務員に定年制が導入されたのは1980年にさかのぼる。当時から60歳という定年年齢は40年以上変わっていなかった。それは、公的年金の支給開始年齢が60歳だったことによるところが大きい。その意味では、定年引き上げはより早い段階で実現されるべきだった。 特別支給の老齢厚生年金は「定額部分(65歳から支給される老齢基礎年金に相当)」と「報酬比例部分(本来の老齢厚生年金に相当)」から成るが、94年の制度改正により、このうち定額部分について2001年度から3年ごとに1歳ずつ支給年齢が引き上げられることになった。これを受けて、国は定年退職者等に対する新たな再任用制度を導入。これが「雇用と年金の連携」である。
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