地域の力で未来を育む~チルドレンファーストの実践(2)/豊島区・男性育児支援/パパの子育て参加後押し

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 11月15日、豊島区の西部子ども家庭支援センターに5人の父親とその赤ちゃんたちが集まっていた。
 「つまんでつまんで、くるくるぽん」「むちむちの太もも、今しか触れません」。講師役を務めた同センターの元保育士の掛け声に合わせて、父親たちは慣れない手つきで自らの子どものお腹をさすったり足の付け根をほぐしたり。体温の安定や親子の信頼関係の深化に効果があるベビーリンパケア(マッサージ)を学んでいる。
 同区が2023年度から都子供政策連携室の補助を受けて始めている父親向け子育て支援イベント「わくわくどきどき・パパベビマ」。この日、新米の父親たちは赤ちゃんのマッサージの仕方や接し方といった子育ての知識を教わっていた。
 講習の後は、父親と子どもたちだけで懇談会に。参加者の1人は、「自分が骨折して子育ての戦力にならず、1カ月間、妻に頼りきりだった」と明かし、妻への恩返しのアドバイスを求める場面も。「もっと時間があってもよかった」「父親同士で情報共有ができた」などの声が上がり、評判は上々だ。
 同区では子育て支援策のうち、「男性の育児参加」や「パパ向けの子育て支援」に特に力を入れている。区子育て支援課によると、育休を取得したはいいが、子育てに関する知識がなかったり、相談できる相手がいなかったりして精神的な不調を感じ、結果的に子育てに参加できなくなる父親が増えているという。区が実施した24年の調査では、1歳までの子育てで精神的な不調を感じたことのある父親は41・8%に上る。
 区子ども家庭部の坂本利美子育て支援課長は「精神的不調で悩みを相談できなくなってしまう前に、父親たちが自ら支援を求めることができる環境を作ることが大切」と話す。区によると、男性の積極的な育児参加は子どもの愛着形成や運動発達に良い影響を与え、両親の心身の健康は、子どもの健全な発育につながる。
 こうしたことから、同区は今後父親になる「プレパパ」向けの「父親手帳」の配布や講座の実施、父親のみ参加できる懇談会「パパズカフェ」を通して子育て支援を充実させ、男性が子育てをする上でサポートを求めやすい社会の構築を目指している。
 男性の育児参加は近年になってようやく叫ばれ始めただけに、情報の周知・啓発などには課題があるといい、同センターの担当者は「『パパズカフェ』のようなパパ限定のイベントでは参加者が少ない。夫婦で参加できる子育てイベントとは異なり、父親だけで参加するイベントは緊張感があるのだと思う」と説明。「もっと男性が参加しやすいイベントにしていきたい」と語る。
 都子供政策連携室の長谷川学連携推進担当課長は「男性育児支援は、女性に偏りがちな育児の負担を男女ともに分かち合うことで、女性の負担軽減につながる。男性の育児参画は男女双方の子育てと仕事の両立にも寄与すると考えている」と述べた。