地域の力で未来を育む~チルドレンファーストの実践(1)/北区・こども起業教室/起業体験で社会性・自主性養う

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 「こっちは扇風機付きランドセルで涼しいぞ」「こっちは保冷剤だから軽くていいぞ」。8月、北区にある起業家の育成施設「赤羽イノベーションサイト」。約20人の小学生が4班に分かれて真夏の猛暑など社会課題を解決する商品のアイデアを出し合っていた。
 暑さ対策としてミストを噴射する日傘を発案したり、顔を押し付けて大声を出すことで日々のストレスを発散できるクッションを考案したりと、柔軟な発想の子どもたちが次々と現れる。
 北区が8月、社会課題の解決をテーマに開催した「こども起業体験教室」だ。都子供政策連携室が学校外での子どもの体験活動を支援する補助事業として採択したもので、都は必要な経費を補助(上限1千万円)。これを受け、北区は8月、3日間にわたって教室を開催した。
 同教室では、小学4~6年生が身近な課題を解決する商品を考案。事業計画の立案から商品開発、資金調達を経て販売までの流れを体験した。
 体験型キャリア教育には共催者の瀧野川信用金庫の職員も立ち合い、事業計画を審査する。「ターゲットは」「生産個数は」「ミスト噴射日傘はもっと売れるよ」「売上見込みをもっと上げたら、多くお金を貸してあげる」と審査は本気だ。生徒たちは質問や助言を受ける中で、リスクに備え、適正な金額を見極める力を養っていた。最後は紙粘土で作ったサンプルや絵などを用いて、保護者らに発表する。
 商品企画にとどまらず、資金集めから宣伝・販売までを疑似的に経験し、生徒たちは起業の楽しさとともに大変さも学んだようだ。
 「もっと早い時期から起業について学ぶ機会があってもいいのではないか」と山田加奈子区長が課題認識を示し、区は小学生向けの起業体験イベントを企画。小学生に社会や経済の仕組みを学んでもらい、将来、区を支える人材を育てることが目標という。
 「お金の流れを知ることができる非常に良い機会」「この一歩から将来の可能性が開かれるかもしれない」と保護者からの声も上々。定員60人に対し、約90人の応募があったという。区は会社経営を学ぶことで、社会性、自主性を養成し、将来職業選択の一つとして起業を考える子どもを受講者の5割以上とすることを目指す。
 子供政策連携室の石田友樹企画調整担当課長は同区の事業について、「起業体験を含む職業体験は向学心を養うえで大切。その中でも、起業体験教室のように会社の中身を知ってもらう経験はなかなか得られない。子どもの興味を広げるうえで大切な取り組みだ」と意義を強調した。
 区の小林誠産業振興課長は「身近な課題への向き合い方を学ぶことで、子どもたちが地域や日本の社会問題に目を向けてもらえれば」と期待を込める。
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 都が「チルドレン・ファースト」として打ち出している子ども政策の支援事業。ただ、都全域に子ども政策を広げる上では前線に立つ基礎自治体の理解・協力が欠かせない。前線で子ども政策を立案する区市町村の実践的な取り組みをシリーズで追う。