11月、小金井市立栗山公園。来園者がカフェでコーヒーを注文すると、「店員」の子どもが中心になって、互いに手助けし合いながら、ゆっくりと丁寧に一杯を注いでくれた。
テーブルには「とってもかっこいい」「しっぱいしてもだいじょうぶ」「とってもさいこう」など、平仮名でポジティブな言葉を書いたスリーブが並ぶ。
メッセージを書いてくれたのは知的障害者の「ゲンちゃん」(19歳)。休憩中、記者にタブレットでアニメの動画を見せながらキャラクターのことを楽しそうに語ってくれた。
障害を持つ子どもたちがコーヒーを提供する「マイペースカフェ」では、ゲンちゃんのほか、文字を書くのが難しい障害を持つ高校生の「ミオちゃん」、それに成長ホルモンが出にくい難病を抱える中学生の「なっちゃん」の3人をお店のタレントとして位置付け、保護者や留学生たちが運営をサポートしている。
公園で開催されていたのは、市主催のイベント「栗山公園のんびりデー」。障害の有無や国籍にかかわらず、誰もが「ごちゃ混ぜ」で遊べる公園を提供するというのがコンセプトだ。市が「障害を持つ子どもを含め、あらゆる子どもとその保護者同士が気軽に参加できる日常を当たり前にしたい」と、あらゆる子ども・保護者が気軽に使える遊び場を整備する「小金井みんなの公園プロジェクト」の一環で企画。都子供政策連携室の「子供の遊び場等整備事業」の補助を活用した。
「マイペースカフェ」は健常者と障害者の垣根を超え、「安心して失敗できる場所」を目指すというのがコンセプト。カフェを運営する(一社)ギフテッド代表の石野有紀子さんは「でこぼこを補い合う子どもたちの姿を通じて、違う角度から社会を見てもらいたい」と話す。
公園ではまた、飲食物をうまく飲み込めないような摂食嚥下障害の子どもを持つ保護者らでつくるグループが軽食を提供する「もぐもぐスタンド」を運営。ミキサーで砕くなどの特別な配慮が必要な人たちが安心して外食できない状況などを変え、とろみをつけた誰でも食べられる「インクルーシブな食」を広めようと、ゼリー飲料などを販売したり、ミキサーを貸し出したりしていた。
イベント自体は昨年度も開催したものだが、市環境政策課によると、「身体障害者がメインだと思われ、知的障害者の方が参加しづらい雰囲気があった」という昨年度の反省を踏まえ、総合案内に知的障害や自閉症の子どもたちを配置。公園に知的障害者の人も入りやすいよう配慮したという。
「小さいころから障害者と共存することで、偏見をなくしたい」と話すのは、同課の小林勢緑と公園係長。自身も妹が軽度の知的障害を持っているといい、「普段、公園に来られない人も含め、みんなで過ごせる空間を作りたい」と話し、「健常者たちも、小さい頃から障害者と共存することで、偏見をなくしたい」と期待を込める。
今後、課題になるのは、「みんなの公園」での取り組みを、いかに「日常」につなげられるかだ。小林係長は「都全体として何ができるか。各自治体が取り組むことで、よりよい社会になると思う」とした上で、「子どもが『生まれてよかった』『生きていてよかった』と思える環境になれば」と期待する。
