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公立学校の役割/共通の場の教育で育まれたもの/オックスフォード大学社会学科教授 苅谷剛彦

 東京の下町に生まれ育った私は、区立の小中学校に通い、都立高校で学んだ。その意味で、東京都の教育は、私自身の学校体験の基礎に位置づく。小学校時代から数えれば既に半世紀近くが過ぎているので、今の教育とは比べようがない。それでも、公立校で18歳までを過ごした経験は、私の社会や教育を見る目にどこかで影響を残している。多様な友人たちとの出会いと別れの場を私に与えてくれたのが東京の公立学校だったのだ。
 時代の違いはある。全国の高校進学率が80%に届くかどうかという1960年代の終わり頃、東京都の進学率はその上をいっていたが、私の中学校から高校への進学者は恐らく全国平均よりも低かっただろう。家業を継いだり、家計を助けるために就職する友人たちが何人もいた。高校も、普通科より職業科を選ぶ友人が少なくなかった。友人たちの住んでいた地域の環境も多様で、生活保護を受ける家庭も少なくなかった。時代のせいか、地方からの転校生もほぼ毎年のように入ってきた。都内の学校とは言え、方言を耳にすることもあった。 
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