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識者はこう見る―2011都知事選(上)/大杉覚(首都大学東京大学院教授)/長期政権の惰性を打破せよ

 未曽有の大災害が地方統一選を直撃した。被災地のみならず、都知事選を含めてもだ。本来ならば「首都決戦」などと過熱した報道が展開されるところだが、震災関連情報に圧倒され、「自粛」ムードのなか、静かな選挙戦に終始した。これほどまでに都政の争点が深掘りされない都知事選は、なかったのではないか。4年に一度という限られた都民の選択の機会があっけなく過ぎ去った感がある。
 ただし、大震災に責めを帰して済ますわけにはいかない。確かに、大震災の影響で都知事選をめぐる論戦が極度に抑制された。そのため現職に有利に、チャレンジャーに不利に作用した面は否めない。しかし、そもそも知名度頼りの「後出しじゃんけん」神話に安易によりかかる政党・候補者の姿勢そのものが、都民不在、政策論議不在の証しではないか。

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