検証・舛添都政2年~1期前半を振り返る

第9回 首長の目/区市町村連携は進展も…

2015年12月22日掲載



 「舛添知事もようやく折り返し地点だ。各区長の思いはそれぞれあると思うが、個々の課題も含め、舛添都政の評価を下すのは早すぎる」─区長会会長の西川太一郎荒川区長はこう前置きした上で、「おおむね良好な関係を築けている。知事が今後どうされるか、コミュニケーションを取り、良好な都区関係の下で連携を深めたい」と語った。

 来年2月に就任2年を迎える舛添知事。区市町村長の目にはどう映っているのか。都市長会長の並木心羽村市長は「目に見える実践と新たな視点での施策から、多摩地域のためにという努力がうかがえる」と述べ、今後への期待を示した。区市両会長の言葉を聞く限り、評価は上々のようだ。

 西川区長が16日、本紙のインタビューで語った「コミュニケーションを取る」というフレーズは、知事選告示2日前の昨年1月21日、東京区政会館を訪れた舛添氏が西川区長ら「区長有志」との会談で述べた言葉だ。区との連携に意欲を見せた舛添氏は、区側が求める児童相談所移管にも理解を示したという。

 区長会は当時から議員出身者が過半数を占めており、後援会組織が強力な区長も多い。区政会館での45分間は、舛添氏には地盤を固める「区長有志」16人の支持を、区長会側には次期都知事の「公約」を引き出した。

 区政会館での出来事を受け、市長らも動いた。次期都知事とのパイプをつなごうと、23市長が翌22日に「有志連合」を結成。支持を打ち出した。それに呼応するかのように、都知事選告示の1月23日、吉祥寺駅北口で「多摩第一声」を上げた舛添氏は、多摩担当副知事構想を明かした。

 「(定数)4人の副知事のうち、1人を多摩担当副知事とする。私も極力、多摩地域を歩くが、多摩担当副知事が必ずいる状態にする」――応援に駆け付けた8市長は、この日一番の拍手を送った。

 選挙を通じて「区市町村との連携」を強調した舛添知事は、就任直後から行動を起こした。初登庁から翌々日の2月14日に区長会総会を訪問。また、同日に秋山俊行副知事を多摩・島しょ担当に選任した上で、20日に町村長会議、25日には市長会全体会に秋山副知事を伴って足を運んだ。区長会では「都区で手を携え、東京の課題解決を図る」と決意を述べ、町村会では「多摩・島しょの繁栄なくして東京の繁栄はない」と宣言。市長会では「4月以降、各市を視察する」と、現場重視の姿勢を示した。区市町村長の期待も高まった。

 舛添知事が就任して以降、知事と区市町村長との距離感が縮まったのは確かだ。知事はこれまでに都内81カ所の現場視察を実施。都有施設などが中心だが、区市町村長と同席する機会も少なくない。当選から2カ月後の初の知事視察に同行した清水庄平立川市長は「現場を見た上で施策を講じるという知事の気概を感じた」と印象を述べた。「有志」に参加しなかった保坂展人世田谷区長も、区内の高齢者住宅の視察への同行を振り返り、「福祉の話が弾んだ。長期ビジョンの実現に頑張っていることが伝わった」と評価した。

 石原都政以降は知事欠席が通例となっていた都市町村協議会後の懇談会では、舛添知事自ら市町村長一人ひとりに声を掛けた。高野律雄府中市長は「気さくに話し掛けていた。(石原)元知事と(猪瀬)前知事は話す機会さえ無かったが、ラグビーや美術など市をよく把握していた」と語った。

 区長会、市長会、町村会と足並みをそろえて、今年11月に国への要請活動を行った税源偏在是正問題での対応は、最も象徴的と言えるだろう。

 区市町村長に舛添知事の評価を尋ねると、好意的な回答がほとんどだ。だが、それはあくまで「公式発言」。不意に首長から漏れる言葉では、にわかに様相が変わる。

 ある区長は「現時点で石原・猪瀬都政との違いは見えない」と辛口な評価。別の区長は「現場に足を運ぶ以上、現場の声を聞くべきだ」と厳しく指摘する。多摩地域からは「多摩担当副知事の新設に期待したが、秋山副知事に肩書が増えただけ。肩透かしだ」「現場を回ると言うが、自治会館以降はなしのつぶて」などの声が出ている。

 舛添知事の言動からも、就任時からの変化を感じさせる機会がある。区長会が求める児相移管問題では、今年5月に課長級の部会での協議を本格化させることで都区が一致したが、その直後の知事会見で「誰がということではなく、子供の命を守ることに結果を出すべき」と移管に慎重な姿勢を示した。「極力足を運ぶ」としていた多摩地域にオリンピック・パラリンピックの推進拠点を開設した11月25日、東京自治会館(府中市)に現れたのは秋山副知事で、知事の姿はなかった。

 区市町村との連携が構築されつつあるのは間違いない。しかし、知事選を支援した区市町村長が描いた「緊密な連携」とはまだギャップがあるのも事実だ。
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