教育の現場

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10月23日付(4785号)   「教育の現場」INDEX
●「進学指導重点校」に
 私立に負けない都立目指す

都立八王子東高等学校


 「進学指導重点校」として都教委が指定した四校の中に、多摩地域から唯一選ばれた八王子東高校。

八王子東高校 それに対して、「生徒には能力別編成をされたり、部活や学校行事の時間が減って、東の良さが消えてしまうのではと戸惑いもあったようです」と殿前康雄校長。学力テストと調査書の比率が従来の六対四から七対三になることについても、生徒会長から「僕は特記事項での生徒会活動で入学出来たと思うので、そういう生徒が入れなくなるのではないか」と心配するメールが届いたという。

 それには推薦枠で対応できるし、東の良さは全く変わらないと、すぐに誤解を解いたと校長。また、完全週五日制となることへの保護者の不安にも、隔週土曜に公開授業の形で授業を行い、現在とほぼ変わらないと、周知を徹底した。

 七六年開校と都立高校では後発組ながら、今年度は都立高校で最も多い十五人の東大合格者を出した。その秘訣は勉強だけに偏らない、こういう自由な雰囲気にあるのかもしれない。

 生徒のほとんどが入学して良かったと言い、一、二年生の九割が週に五日から六日を部活動に熱中する。その部活紹介となる入学式翌日の新入生歓迎会は、二年生が主催し、そのハジけ方は尋常ではないらしい。「代々、校長が仮装する習慣で、今年は生徒にされるがままタモリに扮し、スポットライトを浴びて、スター気分を味わいました」

 ところが、その騒ぎの中を三年生だけは別世界という。「私も最初はびっくりしたが、三年生はガンガン勉強していて見向きもしない。その切り替えの早さは大したものです。先生たちも、二年の担任は何か悪さしないかと思っているが、三年では補習授業に熱心に取り組んでいるんです」

 進学指導重点校は九月二十六日に発表され、その日から二〇〇四年度までの指定と唐突だったが、予感はあったと言う。「五年位前から進学実績のある十四校で進学指導研究協議会を組織し、情報交換をしてきました。九七%の高校進学率で、個性尊重の流れもあって、子どもの要望は多様化している。ドロップアウトしそうな子には、ホームルームクラスを増やすなどケアしてきたが、進学校にはお金をかけてこなかったのではないか。特色化の中には、進学したいという希望をかなえることも当然入ってくるはずなんです」

 初代の石坂富司校長は、“伸びこぼし”を作ってはいけないとよく口にした。「その理念を引き継ぎますと言ってるんですが、石坂校長は落ちこぼれという言い方もしなかった。教師の力不足なのだから、“落ちこぼし”だと言うんです」

 教育理念は英数国理社に偏らず、体育も芸術も家庭科もと、全人格的な人間を育てようというものだ。全方位学力だから、センター試験も理系、文系と分けず、全科目を受ける生徒が七五%もいるという。「文武両道を標榜して、骨太な進学校、本物の進学校を目指してきたんです」

 都教委では重点校に指定した理由の一つに、講習および補習の実施を挙げる。十年ほど前まで特別講座を開き、生徒の知的欲求にこたえてきたが、補習も開校当時から生徒の声に押される形で実施してきた。取材の日も、午後一時から二時限にわたって続いた数学の授業が、補習の形で四時を過ぎても行われていた。

 「自発的に始まり、自主的な先生方の地道な努力で講習の内容は非常に高い。三年生にはほぼ毎日行い、教室に入り切らない講習は隣の都立科技大の講義室を使っています。予備校に頼らなくても進学できるので、八王子県立高校という言い方もされるんです」

 県立高校と言われるもう一つには、進学校が都心に偏り地元になかったことから、皆で育てようと、中学からも優秀な生徒を送り込んでくれたことがある。今も八王子から六割が通い、日野、町田と合わせ、学区域の生徒が九割を占める。

 PTAも盛んで、広報発行の『しらかし』は、都P連コンクール受賞の常連。一方、進路指導部では、詳細な『進路の手引き』を配布。生徒会が学区域の中学生に『学校紹介』の冊子を作って配るのも伝統だ。

 これまでも子どもには伸びたい気持ちがあるのだから、それを育てたいという思いでやってきたと校長。「東の生徒には人の気持ちが分かる本物のリーダーに育っていって欲しいと思っているんです」

 「私立に負けない都立」を売りに、先頭を走る八王子東高校。良い意味の危機感が生まれ、進学を目指す都立高校の牽引車となることも期待されている。
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