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| ●夏休みに商店で体験 我慢・忍耐の気持ちを感動へ
インターンシップは、今や子どもの世界にもある。戸山中学校では、夏休みに生徒たちが地域の商店街で商業体験をする「Summer Store−School」を実施。この夏で三年目を迎える。 「進路指導の一環として二年生が主体の職場体験学習はどこでもやっていることだが、戸山中では、PTAの主導で行っている点が特徴」と新宮領毅教頭。 「近くに『百人町明るい会商店街』と『新大久保商店街』という二つの受け皿があったことが大きいが、あくまで主催はPTAで、生徒にも強制的にはやらせない。学校はそれに押し出す形で協力するという形を取っているんです」 学年を限定せず希望者を募ったが、三年生は受験を控えているため、初年度は二年生を中心に九十三人が参加。昨年は五十人と減少し、この夏は七十一人に。今年から隣りの大久保中学も加わるので、全体では百三十八人が参加する。 一方、受け入れ側の商店も二十六店舗から三十三店舗、さらに今年は三十九店舗と着実に増えている。 「ひところ夜の大久保地域が非常に有名になってしまい、そうした問題を乗り越えてきた地域でもあるんです。当初は各商店との協議も大変だったようだが、話していくと協力が得られる。本来、子どもに対して何か出来ないかという積極的な面が強い地域でもあるんです。地域で子どもを育てるんだという意識が強いところだと思いますね」 一学期中に職種などを勉強し、希望した生徒には終業式のあった十九日に、それぞれ行き先を発表した。七月中に生徒が直接、商店と交渉し、体験日を決める。今年は八月二十日から二十八日の間の二〜三日程度で行われるという。 米屋(写真=ラベルを張る顔も真剣そのもの)、酒屋、パン屋、靴屋、本屋から、そば屋など飲食店、コンビニ、美容院など、職種は多種多様。 参加した生徒の感想は、「仕事は大変だったが、よい経験になった」「接客が大変だったが、勉強になった」「初めは緊張したけど楽しかった」などなど。 「実際はやる前は消極的な姿勢だったと思う。今の子どもが嫌いな言葉は“石の上にも三年”、好きな言葉は“棚からぼたもち”。苦労しなくても身になる、我慢しなくても出来るものを、今の子どもは求めやすい。それが商業体験では失敗すれば怒られるし、力仕事もある。緊張感や我慢もしなくてはならない。それでも一〇〇%に近い生徒がやって良かったと感想を述べています」 思春期に就業体験する意味も大きい。「アンバランスで、大人のあら探しをしたり、物事を斜めに見やすい頃です。あのおじさん、あんなことやっててしょうがないなと思っていたのが、仕事の大変さ、苦労が一つ一つ分かってくる。机上だけで物事を判断していたのが、やっぱり大人ってすごいんだとなる。こうした体験が五年、十年後に生かせればと思いますね」 それでも、「あいさつしなかったら怒られたが、次からは気持ちよくあいさつ出来た自分があった。そんなにあいさつって大事なのか」と感想に書いた生徒が、職員室にニュッと入ってきて「何だ、いねえのか」と変わっていないのだと苦笑する新宮領教頭。 「リモコンチャンネル世代で、リモコン一つで次の場面に切り替わるが、前の感動が次につながらない。命を揺さぶられるような大きな感動を味わうこともないし、感動が浅いんだと思う。何とかつながりを持たせられるような教育ができればと思うんです」 感動を味わうためには我慢する心、忍耐する気持ちを持ち、それを乗り越えることが必要だ。それにも、このインターンシップは力になるはずだと言う。 「生きる力をはぐくむために、最初から子どもに主体性を求めても、何でも親が先回りしてしまう環境では無理がある。これからは途中からの主体性をどう引き出していくかが、教育現場で問われているんです」 この八月末も、お揃いの黒のエプロンを着けた中学生たちが、大久保の商店街で汗を流して仕事をしているはずだ。 ↑TOPへ戻る |