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| ●一人ひとりの夢かなえて 就職率100%の都市園芸科
メーテルリンクの『青い鳥』から、その名を採ったという都立青鳥養護学校。一人ひとりの夢をかなえようと開校から五十四年間、障害児教育の先頭を切って走り続けてきた。 この高等部に一九九七年、職業学科としての都市園芸学科が設置され、まだ四年目というのに、あらゆる場面で素晴らしい成果を上げている。 「日本の種苗関連のトップメーカーが参加する五十年以上の歴史を持つ国内最大の団体の主催で、各会社の専属デザイナーが出品するような展覧会なんです。学校関係での出品自体があまり例がないし、まして連続受賞はきわめて異例なことです。今年は遊園地にある観覧車やコーヒーカップをイメージした楽しい作品だったんですよ」と嬉しそうな宮崎英憲校長。 一月には二〇〇〇年度の都教育委員会職員表彰、三月にも都立学校廃棄物減量活動教育庁賞を受賞するなど、「色々なことやっているので、ハチャメチャなんですよ」と笑う。 青鳥養護が三十周年を迎えた前後も、教師として在籍し、『青鳥三十年』の刊行に携わった。「新しい試みを次々とやっていこうという伝統があるんです。五七年に高等部ができる前には埼玉職業実習所を造ったが、学校が作業所を持つなんて今では考えられない。それが高等部の設置につながっていったわけだが、先を読み、新たなものにチャレンジしていこうという気概があったんです」 職業教育の重要性を訴え続け、ようやく実現したという職業学科。個々の子供の力に合った指導をすることで、就労につなげ、自立して社会参加ができ、豊かな生活を送れるようにすることが最大の目標だ。 実際に、都市園芸科を巣立った仲間はまだ二回生だけだが、昨年、今年と二年続けて就職率は百%。 「重複など重度の障害を持つ子供の支援はかなりしっかりしたものがあるのだが、軽度の知的障害の子供にはうまく対応できていなかった」というだけに、今後の広がりが望まれる。当然、保護者の期待も高く、今年も四・二倍の応募で、十八人が入学。「本来だったら希望者の半分位はとりたいところなんです」 ここでは当初から都市部の特色を生かした農業実習の研究・開発に取り組み、週に二日は世田谷区池尻の本校とは別の玉堤にある農場(写真=農場、多摩川での授業)府宇検で作業を行っている。 高齢者施設を訪問し、一緒に作業しながら交流したり、玉堤小の生徒に和紙の作り方を教えるなどもしており、「ボランティアの受け手になることが多い養護学校の生徒が、能動的なサービスの与え手になっている。知的障害では、伝えることが出来にくいんだが、教わったことを教えることで、力量を高めていくことにつながっているんです」寿教室や園芸教室も近隣に大人気なのだという。 三年生は年間を通じた課題研究で、ニワトリやホタルの飼育や、ケナフを栽培し、和紙の制作にも取り組み、発表会も行っている。 世田谷区の菊花展でも毎年受賞。その作品がいかに素晴らしいかは次の話が物語る。「周年行事では懸崖菊を飾るが、たかだか養護学校の行事に業者を入れるなんて税金の無駄遣いだと怒鳴り込まれた。教師が地下足袋を履いて、作業着を着てやっていたので、業者だと誤解されたんだが、根底にはうちの生徒にそんな作品が出来るわけないと思い込んでいるんですよ」 世間には普通校こそ学校という神話があると校長。「障害児の学校は本来はあってはならない学校と思っているんではないか。今は地域はなく、地域エゴしかない状況で、障害者の施設を造ることにも反対運動が起きる。ホタルの飼育も本格的にやっているんだが、どこかの小学校でチマチマやっているものは新聞に載っても、ここはどこにも取り上げられない。養護学校が何をやっても取材が来ることはないですね」 そうした人間の差別、選別に対して、根本的に打ち破ってやりたいという敵愾心があるのだと。そのためにも成果はどんどんアピールし、生徒の資質の向上につなげたい。養護学校のセンターとしての模範を示す学校となるため、「色々なことを面白くやっていこうと思っているんです」 教育の原点とも言え、通常の教育にヒントとなることが一杯あるはずだとも。「普通高校や定時制に進学してもドロップアウトしてしまったり、不登校も十四万人に及ぶが、その中には学力不振が影響している子供もいるはずです。ひきこもりも社会問題になっているが、そういう子供たちに対して、誰も手を差し延べようとしていないのが現状だと思うんですよ」 社会に出た時に、その人なりの豊かな生活を送って欲しい。かけがえのない一人一人が、かけがえのない人生を送って欲しい。それをサポートするためのシステムをどう作っていくか、挑戦は続く。そのためにもやる気のある学校は、どんどん自由にやらせる裁量が欲しいと話した。 ↑TOPへ戻る |