教育の現場

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7月25日付(4666号)   「教育の現場」INDEX
●学校ビオトークコンクールで優秀賞
 校内に用水引き込み体験学習

日野市立潤徳小学校


 「水と緑のまち」日野市を印象づけるものに、市内に残る約百七十キロメートルに及ぶ用水路がある。その一つ、浅川から引かれた向島用水では、「水辺に生態系を」と、人間を含め多様な生き物が暮らせる水辺空間を復元、創造しようと「向島用水親水路事業」を展開している。
とんぼ池 かつては農業用水としてだけでなく、生活用水として人々の生活を支えてきた向島用水も、コンクリートの護岸やフェンスに囲まれて、まるで排水路のようになっていた。それを整備するに当たって、隣りにあった潤徳小学校の敷地内にも用水を引き込み、身近な環境学習の場を創造しようとしたのが大きな特徴だ。
 一九九二年度から九五年度にかけて工事を行い、学校と水路とを隔てていた塀を取り壊し、大小の池を一つずつ造った。
 「最初に学校の敷地の一部に組み込みたいと打診があり、大変よいことだと、生徒も参加して一緒に造り上げていったんです」と越智敏雅教頭。大きな池の名称は、子どもたちが「とんぼ池」(写真左)と名付けた。
 「すぐ目の前にあるわけだし、それに設計もうまく造ってあって、スーッと水に入っていけるようになっているので、子どもたちはいつもバシャバシャ水の中に入ったり、魚とりをしたりしています。市の鳥であるカワセミが飛んできて、鳥の観察も出来るし、川を活性化する水中微生物について、市の水路清流課の職員が話に来てくれたり、プールでヤゴとなったのを、とんぼ池に放したり、色々なことが体験できます」
 さらに、用水の先には当然、水田があるのが普通だった。ここでも田んぼを借りて、生徒に田植えを経験させている(写真下)。「五年目になるが、大体百八十キログラム位の米を収穫できます。お世話になった方々を招いて収穫祭も行っているんです」
田植え作業の体験 向島用水親水路にかかる橋の名前も募集し、「ほほえみ橋」と名付けられた。「トンボがすみ、野鳥が飛来し、魚が泳ぐ姿をこの橋から眺めていると、心がなごみ、まるで自然が私たちにほほえみかけているようだ」という思いからだ。
 「橋の欄干もうまく造ってあって、腰掛けて釣りが出来るようになっている。落ちても危なくない高さなんです。六月位からどんどん魚が繁殖しています」と越智教頭。実際、びっくりするほど大きい鯉が何匹も悠々と泳いでいた。
 「自分たちの子どもの頃みたいですよね。こんな光景を見たことがあるなと。水辺の学校として、非常にうるおいのある学校になっていると思う」と教頭。 「今後も、こちらでお膳立てするのではなくて、子どもが自然の中で何かを掴めるような教育を考えていきたい」と話す。
 こうした取り組みが評価され、今年の二月には日本で初めて開催された「第一回全国学校ビオトーク・コンクール」で優秀賞に輝いた。ドイツ語で「野生の生き物が生息する空間」を意味するビオトーク。それを学校現場に導入する試みは、ドイツやアメリカなど環境先進国では、環境学習の教材として高い教育効果を上げているという。
 日本でも注目され初め、その取り組みが広がりつつあるというが、まだまだ手探りの状態にあることから、コンクールで優れた事例を紹介し、学校ビオトークのより一層の普及と環境教育の向上を図ろうと、(財)日本生態系協会の主催、文部省環境庁、建設省や東京都など多くの後援を得て開催されたものだ。
 「軽い気持ちで参加したんですが、約三百校の中から九校が選ばれ、当日、五年生の自然科学クラブの三人が発表しました。質問にも子どもたちで答えましたが、総合的な学習に生かす計画があるのかなどの質問もあって、それは教師で答えました」
 日野市では、来年度の入学時から、ブロック内の自分の希望する小中学校に入学出来るようになる。当然、学校間の特色づくりが課題となり、潤徳小学校でも求められることに。九月までには希望学校を決めることになっており、六、七月にはその説明会に追われた。
 信夫清彦校長は、「今日が楽しく、明日が待たれる学校が第一だと思う。明るく元気のある子どもたちに育って欲しいと、体験学習に重きを置く一方、子どもたちの縦の友達関係をつくりたいと、一年から六年までの縦割り班活動も行っているんです」
 学校ビオトークの実践を通じても、根底にあるのは「単に知識だけではなく、体験を通じて知恵のある子どもたちを育てたい」と言う校長。また、用水路の掃除を皆でやることで、奉仕の心も身に着いてくると話す。十一月には一週間、連続して授業参観日を設け、父母に一年間の学校評価をしてもらうのだという。
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