教育の現場

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6月23日付(4657号)   「教育の現場」INDEX
●オンリーワンの自分発見
 進学重視で「希望の星」に

都立墨田川高等学校


 都立高校の改革が盛んに行われているが、この4月、文字通り都立高校の復権を目指し、「進学重視型単位制」を打ち出して誕生したのが都立墨田川高校だ。
 所在地は京成曳舟駅から徒歩8分の東向島。都内全域から応募が可能と言っても、地理的に主力となるのは城東地域であるので、「下町の希望の星 墨田川高校」を標傍し、全都で3校を計画する中で、他に先駆けて開設となった。
 この背景には、都立校から進学するなら浪人覚悟と流布されるように、進学実績で大きく私立校に水をあけられている現状がある。「都民からも、今までの都立高校で良いのかという問いかけがあり、意識調査でも進学対応をして欲しいという声が上がっていたんです」と有賀康修校長。
 個性化・特色化を図っていこうとする都立高校の方向の一つに、大学進学を目指す生徒の学習希望にこたえ得る単位制高校も設置することになったものだ。
 しかし、「希望の星」と言っても、進学率を上げることだけが目的ではないと校長は強調する。「単に偏差値が高いというのではなく、一人ひとりがそれぞれ良さを持っていることが重要です。ナンバーワンからオンリーワンの自分をどれだけ発見し、それを育てていけるか、自己探求、個性開発がこれからは大事になってくると思うんです」
 自分の良さを発見できる学校として、重視するのがキャリアガイダンスだ。「菊池文次前校長らが工夫して作ったもので、何で大学に行くのか、大学は自分にとって何なのか、進学して学ぶことにどういう意味があるのかを自ら考えて、自分自身のものにする時間なんです」
 2学期制を導入し、基礎系科目のほか、実戦的な「演習系」、学問的興味に応じて発展的学習を行う「探求教養系」と、多くの学校設定科目を設けたため、自分で時間割りを作るといっても容易ではない。生徒の適性を把握してアドバイスするが、受験に有利な科目選択といった狭義の進学指導に陥らずに、生き方にかかわるような広い視野に立つ指導をしていきたい。そのため今は年間1単位、週1時間のキャリアガイダンスを設置し、いずれは「総合的な学習の時間」につなげたいという考えもある。
 「受験テクニックだけで、どこどこ大学に何人入ったという近視眼的なことでは困る。日本の科学技術水準は落ちていく一方になる。現代社会へ問題意識を絶えず持ち、最先端の知に触れる中で、初めて勉強への意欲が出てくる。大学では燃え尽きていると大学の先生が嘆くが、学びたい課題や探求系の科目にぶつかっていれば、大学でも意欲的に学ぶと思う」。増えているA・O入試にも強力な武器になると校長は言う。
 「みんなの夢を応援します」と大々的にPR、学校見学会には千300人が訪れたが、逆に志願者増を危惧して、今年度は1.04倍の倍率にとどまった。
 「中学の先生が単位制について不安な点があると、他受験を勧めたケースもあったようです」と玉井篤教頭は苦笑するが、中学3年生に単位制をどうやって理解してもらうかが最大の課題だ。
 他府県では進学実績のある高校が次々に単位制を打ち出しているが、都では従来、進学校ではない高校に単位制が導入されてきたという経緯もある。
 また、1965年に入試準備教育是正の通達が出され、今の都立高校には進学型の授業が出来る教師が少ないと指摘する声がある。開設の準備段階からかかわった揚村洋一郎教頭は、「手づくりで、演習系、探求系の科目も自分たちで作り出さなくては。そういう意欲を持つ教師も育てなくてはいけない」と話すが、「低迷する受験指導を何とかしたい。進学指導をやってみたい」というやる気のある先生方とうまく連携できたと言う。改めて地域の期待が非常に高いことも再認識したという。
 今は1年生のみで基礎系科目だけだが、今後、演習や探求教養系科目の履修や、小人数指導や習熟度別授業を実施するには、教師の増員も課題だ。
 墨田川高校は府立七中として創立、今年で78周年という歴史を持つ。その伝統である全人教育も第一に継承していくのだと。
 「地元の中学から努力して墨田川高校に入ったら、予備校に行かなくても現役で大学に行けるんだという力をつけることで、都立高校全体がうちも頑張ろうというような道筋をつけていきたい」というのは共通の思いだ。
 ホームページアドレスはhttp://www.sumidagawa-tky.ed.jo/index.html
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