都政新報
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観光都市TOKYO~訪都2000万人への挑戦(2)/MICE/東京の強み生かし誘致

 
   海を越えてやってきたドクターたちを出迎えたのは、咲き誇った満開の桜だった。
 昨年4月2日、有楽町駅前にある東京国際フォーラム。この日から5日間にわたって開かれた国際眼科学会は、135カ国から約2万人が参加する国内では史上最大規模の国際会議となった。
 「東京が一年で最も美しい季節に海外からの参加者をお迎えしたい」と、あえて年度始まりのこの時期を設定。中庭には何十本もの枝を生けた巨大な「桜の生け花」が置かれ、その大きさと美しさに誰もが感嘆の声を上げ、カメラに収めようとする姿が夜まで続いた。
 36年ぶりとなる日本での開催。主催者の日本眼科学会が開催準備で力を注いだのは、細部への心配り、そして日本ならではの「おもてなし」。その一つが桜の演出だった。開催前夜の食事会では、39のテーブル全てに異なる種類の桜が飾られた。本番の会議はどの会場も大勢の聴講者が入り、華道や茶道、書道、着付けなどの無料企画はほとんどがあっという間に予約で埋まった。「エレガントで、全てが準備されていて、とても気持ちが良い学会だった」「これまで参加した中で最高の学会だ」─参加者からは最大級の賛辞が寄せられた。
 だが、その一方で2万人規模の会議は東京の弱点も浮き彫りにした。会場は東京国際フォーラムだけでは収まらず、近隣の帝国ホテルを借り上げて分散会場としたため、会場間の移動を強いられた参加者からは不満が強かったという。
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 国際会議や企業の研修・報奨旅行といった「MICE」は、一度の開催で数百人から数千人の参加者が見込まれる。家族同伴で来日する参加者も少なくない。ビジネス目的の外国人は通常の観光客に比べて個人消費が1・2倍と大きく、1万人規模の会議で約38億円の経済波及効果があるとされている。海外からの参加者に東京の魅力が伝われば再訪してもらえるだけでなく、口コミによるPR効果も高いと言われている。
 また、国際会議は、国内外の事業者が参加する産業展も同時に開かれることが多く、「ヒト、モノ、情報」が集まる。開催によって東京の国際的な知名度が上がるとともに、国内企業の商談機会が増えることも期待できる。
 東京での開催件数は昨年228件で、10年前の2・7倍に増加した。主催者に向けた会場費の補助やPRによる成果が表れていると言えるが、トップを走るシンガポールの850件には大きく後れを取り、249件のソウルにも後塵を拝し、世界の都市別では6番手にとどまっている。
 1万人以上が収容可能な会議場やカジノなどのアフターコンベンション施設を国策として誘致している他国に対し、東京国際フォーラムの会議場収容人数は約6千人。国際会議誘致に取り組む東京観光財団も「東京の持つ会議場のスペックは、競合都市と比べて大型の会議を誘致するに当たっては不足している」(コンベンション事業部)とハード面での不利を明かす。それを克服するためにも、ソフト面での充実が今後の課題だ。
 受け入れ施設での多言語対応を始め海外の商習慣やビジネスの仕方を学んだ人材育成が求められている。
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 都は今年7月に策定した「MICE誘致戦略」で、東京の強みを生かして効果的に誘致活動を展開するため、ターゲットとなる重点分野を定めて集中的に取り組む方針を打ち出した。
 特に国際会議分野では、都内に医歯薬・理工学系の大学や研究機関が集積している強みを生かすとともに、会場費の補助などのインセンティブ強化や研究者など誘致人材の育成を進める。
 さらに、開催都市としての魅力を誘致につなげるため、東京ならではの歴史的建造物や文化施設でレセプションなどを行う「ユニークベニュー」にも積極的に取り組む。
 都産業労働局は「ソフト面の充実やおもてなしの対応によって、他都市に対抗していく」(観光部)と意気込む。
 都は、10年後までに330件のMICEを誘致する世界トップ3の都市になるという目標を掲げた。その実現によって世界からの注目度が上がり、グローバルな都市と認知されれば、国際的な競争力の強化につながる。とはいえ、「MICEの取り組みはやっとエンジンがかかってきたところ。実績を積み重ね、会議主催者に東京がパートナーとして信頼されることが重要」(観光財団)だという。数年後のMICE誘致に向けた「種まき」は、花が開き、大きな実を結ぶだろうか。
 

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