都政新報
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観光都市TOKYO~訪都2000万人への挑戦(1)/外需到来/観光を一大産業に育成

 
   日曜日の昼下がり。銀座中央通りの歩行者天国は、続々と到着する観光バスから降り立った観光客でごった返していた。高級店が立ち並ぶ通りにもかかわらず、歩道の段差に座り込んだり、買った商品を店先で広げている人も目立つ。多くは家電量販店などでの買い物を終えた外国人観光客だ。
 店舗関係者は「今年に入ってビザ要件が緩和したことで、中国からの観光客は明らかに増えている」と話す。銀座でのショッピングは人気が高く、旅行会社が提供するパッケージツアーに組み込まれていることが多い。だが、日本語が不得手な観光客は日本橋などの周辺地域に足を伸ばすことが出来ず、2時間後に迎えのバスが来るまで銀座中央通りで時間を潰す。こうした外国人観光客を呼び込もうと、多言語表記の値札や外国人の店員を用意している店舗も増えてきている。
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 東京を訪れる外国人観光客は、東日本大震災があった2011年に一時落ち込んだものの、ここ数年はうなぎ登りだ。
 都産業労働局の実態調査結果によると、昨年の外国人観光客数は約887万人と、10年前の約2倍の規模にまで拡大している。今年1~3月の速報値では約255万人で、単純計算すると、年間1千万人を突破する勢いだ。
 その外国人観光客が地域にもたらす経済効果も無視できない。昨年1年間に外国人観光客が都内で消費した総額は約7854億円で、前年よりも2千億円近く増えて過去最高を更新中だ。
 日本では少子高齢化によって生産年齢人口の減少が進み、今後、国内の需要は大きく縮小することが見込まれる。それは東京も例外ではない。成長を続けるアジア諸国に国内産業が対抗するためには、外国人観光客という外需を積極的に取り込んでいく視点も必要だ。
 舛添知事は7月の庁議で、訪都外国人の増加を受け、「富を生み出さなければ社会保障の財源も生まれないので、金もうけできる街にしなければいけない」と持論を述べつつ、観光を一大産業に育成する方針を表明。観光によって利益を上げる方策を検討するよう各局に求めた。
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 都は長期ビジョンで、20年に年間1500万人、24年には年間1800万人の外国人を迎える東京の将来像を掲げている。さらに、知事は7月の定例会見で、20年には「2千万人をはるかに超えている」と話すなど、前倒しでの目標達成も視野に入れている。東京五輪も追い風となって現在の順調な伸びを維持できれば、目標達成は夢ではない。
 だが一方で、懸念材料もある。
 アジア圏から観光客が急増したのは、昨年末から今年始めに観光庁が東南アジアや中国に対するビザ要件を緩和したことが背景にある。また、アジア諸国の経済成長や円安が進んだ結果、東京に興味を持っていた外国人が訪れやすくなったことが大きい。裏を返せば、観光客数が右肩上がりで来ているのは、経済状況などの外部要因に支えられている面がある。とすれば、中国の景気減退や世界同時株安の中、将来の観光客の動向は不透明な部分がある。
 産業労働局は「何度訪れても楽しめる東京の実現のため、今後は外部要因に影響を受けない、東京の多面的な魅力をアピールしていく必要がある」(観光部)と話す。そのため、訪都外国人の「数の向上」を目指すだけではなく、受け入れ環境の整備やグローバル対応の強化、自然や文化といった、まだ知られていない東京の魅力PRなどを通して、観光地としての「質の向上」に取り組んでいく方針だ。
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 海外からの観光客を恒常的に受け入れ、産業としての観光を拡大していくためには、東京が世界の旅行者に選ばれる一流の「観光都市」になる必要がある。都はこの間、13年に観光産業振興プランを改定し、外国人旅行者誘致の新たな取り組みやMICE誘致の推進、観光資源の開発など、計画的に施策を進めている。アジアのみならず世界各国からの観光客を誘致するブランディング戦略など、10年先を見据えて取り組むべき課題は多い。「観光都市・東京」の魅力を向上するために今、何が必要か、都は何をすべきか。シリーズで追う。
 

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