都政新報
 
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都~区トーク/言葉は心

 
  いわゆるクレーマーには各部署で対応に苦慮しているが、最近増えているのが一般の相談者や苦情者がクレーマー化するというもの。当初は穏やかな相談者であったり、対応を懇願する苦情者だったのに、何かのきっかけで謝罪や補償を執拗に要求するクレーマーになってしまう。
 なぜ、彼らをクレーマー化させてしまうのか。その「何」かが分かりさえすれば、予防や回避することが可能となり、新たなクレーマーを生まずに済むのではないか。
 恐らく会話のやり取りの中の何げない一言が、その人の心に火をつけてしまったのではと思う。他の人には何でもない一言が、その人の逆鱗に触れる一撃となるのはよくある話である。
 世にクレーム対応のノウハウを記した書籍は掃いて捨てるほどあるが、クレーム予防の確立したノウハウを見たことはない。仮にあったとしても、そのノウハウに頼ることはむしろ危険ではないか。大切なのは、相手の気持ちにどれだけ寄り添うか、相手の心にどう心で応えるかであり、職員一人ひとりの姿勢や心掛けに負うところが大きいのである。しかしながら、その心構えを持った職員がどれほど存在するのか、考えると甚だ心もとない。
 ある時、役所のカウンターで烈火のごとく怒っている人を見掛けた。話を聞いたところ、職員が対応のまずさを謝罪する時に「一応、謝ります」と言ったとのことであった。本人の不承な気持ちがつい出てしまったのだと思うが、これでは謝罪したことにはならない。むしろ逆効果である。
 私たちは接客を主とする業務に就くことが多い。接客の基本はコミュニケーションであり、その最も重要なツールは「言葉」である。高い地位にある人が無神経な言葉を発したことにより糾弾され、窮地に追い込まれることもよくある。
 「言葉を大切に」と言うことは簡単であるが、実践は難しい。何よりそこには最も大切な「心」がこもっていなければならないからである。(多言居士)
 

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