都政新報
 
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都議会百条委 緊急アンケート(2005年)

 
  約7割が「真相を徹底的に究明すべき」
浜渦副知事発言 「理解できる」は1割未満

 社会福祉学院問題をめぐる都議会の百条委員会に関して、6割超の都職員が「設置は当然だ」と受け止め、真相の徹底究明に非常に強い期待を抱いていることが、本紙が行った緊急アンケート調査で分かった。予算特別委員会で浜渦副知事が「不法でない形に戻さなければいけない」と発言したことについては、半数以上の回答者が「包括外部監査人の報告を超えている」としている。また証人喚問で「将来改善していくにあたって、法令等に違反をすることのないようにという趣旨」と釈明したことに対しては、副知事の発言を理解できるとした回答は1割にも満たなかった。今後の百条委員会に対しては、70%の人が「これからの都政運営の問題であり、強権体制を払拭する意味でも庁内運営の改善に結びつけるような結論とすべき」と回答しており、自由意見もあわせると、側近政治によって職員の士気が著しく低下し、多くの職員が都政の将来を憂いている実態が改めて浮き彫りとなった。

■百条委の是非

 緊急アンケートは、都の職員やOBから無作為抽出した300人に対し、4月7日に郵送等で発送。15日までに169人から回答を得た(回収率=56・3%)。

 百条委員会は、3月14日の予算特別委員会で、浜渦副知事が「包括外部監査人によって、補助金が正当ではないかもしれないという疑念が発せられた。財産が正当な形で、不法でない形で処理がされないといけない」と答弁したことで設置された。

 アンケートではまず、議会側の対応について質問したところ、回答者全体の3分の2にあたる62・9%が「『補助金が適正でない』と受け止められるような発言を行ったことは、予算を提案する立場の副知事として問題がある。予算を議決してきた立場からいえば、百条委員会の設置は当然である」と答えた。

 これに対し、「予算・外郭団体の担当副知事である立場から、適正な補助金の支出を指摘したものであり、浜渦副知事の発言は当然であり理解できる」という答えは9・6%にとどまった。その他の意見では「不法発言は不適切と考えるが、百条委員会設置が妥当かどうかは異論がある」などの意見が目立った。

 また3月29日の百条委員会で、浜渦副知事が不法発言を「将来改善していくときの一般論」と釈明し、「補助金は正当」「法律違反はない」などと証言したことについては、「理解できる」という回答がわずか5・4%しかなく、議会側が「詭弁だ」としていることに対しては、67・7%が「理解できる」と大勢を占めた。

 だが、「もっと事実を解明しなければわからない」とする回答も24・0%もあり、副知事の発言や議会側の追及の意図が表面的には問題の本質が見えにくいこともうかがわせた。

 今後の百条委員会の運営について尋ねた問いでは、まず「今回の問題は都政運営の根幹に関わる問題であり、徹底的に究明すべきである」という考え方については、68・1%が「そう思う」と答え、81・2%もの人が「百条委員会として、責任ある結論に期待する」を選択した。

 百条委員会の結論に関する方向性について尋ねたところ、「これからの都政運営の問題であり、強権体制を払拭する意味でも庁内運営の改善に結びつけるような結論とすべきである」との回答が68・5%を占めた。逆に「都議会が執行機関側の問題に口を出す真意がつかめない。議会側の越権行為であり、やりすぎである」という意見は、8・2%と少数派だった。

 この設問の意見欄をみると「今の都政はすべて副知事の胸三寸のところがあり、現場はしらけている。知事にも十分に情報があがっていないのではないか。人事も副知事が握っていることから、結果的に知事周囲にはイエスマンしかいない。今の状態が続けば、都政が行き詰まるのは目に見えている」(30代・係長級)、「当の副知事らがメンバーとなっている調査改善委員会に客観的・公平な調査は望めない。百条委員会をつくってしまった以上、きちんとやってほしい」(50代・部長級)、「不法、違法性のない事柄を、いかにも問題ありとする意図的なキャンペーンがされているのではないか。問題を大きくするために、予特で質問させたと考えるのが妥当。徹底的に究明すべきだ」(60代・ОB)など、百条委員会での真相究明と結論に期待する声が多かった。

■都政運営

 最近の都庁の雰囲気について、「自由に発言しづらい」「管理職が上部の意向を気にしてなかなか意思決定できない」など、スムーズに仕事がしにくくなったかどうかを質問したところ、「そう思う」が73・9%と、「そう思わない」(17・0%)を大きく引き離した。

 人事管理に関しては、「都庁内の人事担当のトップは、職員を公平に判断・活用できる人材を登用すべきであり、内部の混乱を招くような人事管理は避けるべきである」とする設問に対し、95・8%が肯定。さらに90・4%の人が、幹部の登用は、知事サイドとの人間的なつながりよりも、誰もが認める識見・判断力・行動力・信頼される人物を登用すべきと答えた。

 さらに、「いまの人事管理は、都民の代表としての知事の判断であり、問題はない」との質問には、64・8%が「そう思わない」と回答。組織運営のあり方については、約7割の回答者が、副知事1人に権力が集中しないよう、予算・計画・人事の所管を3副知事で分担すべきと考えていることがわかった。
(集計結果は速報値)

 

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